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「措いて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

措いての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
肺病がうつって、それがために共々倒れようが、そんな事を構うもんか。 まあ、何は措いて、嫁の内の財産を云々するなんざ、不埒の到だ。万々一、実家の親が困窮して、都....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
安や失望が常に私を脅かすにもかかわらず、太初の何であるかを知らない私には、自身を措いてたよるべき何物もない。凡ての矛盾と渾沌との中にあって私は私自身であろう。私....
春昼」より 著者:泉鏡花
前のは、先ず先ずと我慢が出来る、後のは、堪忍がなりますまい。 まあ、そんな事は措いて、何んだってまた、そう言う不愉快な人間ばかりがその夫人を取巻いているんでし....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
です。 鯉七 ちと申つかった事があって、里へ参る路ではあれども、若君のお使、何は措いてもお供しょう。姫様、お喜びの顔が目に見える。われらもお庇で面目を施します、....
転機」より 著者:伊藤野枝
解をもつ事の出来る友人は私の周囲にはひとりもなかった。そういうことに対してはTを措いて他にはないのに、今度はTでさえも取り合ってはくれない……。私は本当にだまり....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
遅いそうな。 まだそれも、鳴子引けば遠近に便があろう。家と家とが間を隔て、岸を措いても相望むのに、黒門の別邸は、かけ離れた森の中に、ただ孤家の、四方へ大なる蜘....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
を揚げて皆笑った……小さいのが二側三側、ぐるりと黒く塊ったのが、変にここまで間を措いて、思出したように、遁込んだ饂飩屋の滑稽な図を笑ったので、どっというのが、一....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
子が一所に乗っていた。 これは卓子台に載せると可かった。でなくば、もう少し間を措いて居れば仔細なかった。もとから芸妓だと離れたろう。前の遊女は、身を寄せるのに....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
向島のうら枯さえ見に行く人もないのに、秋の末の十二社、それはよし、もの好として差措いても、小山にはまだ令室のないこと、並びに今も来る途中、朋友なる給水工場の重役....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
なしに、宙を伝う裙から出て、踵が摺れ摺れに床へ触るらしく、小股に歩行くほどの間を措いて、しと、しと、しと。 まさかこれぎりに殺されもしまい、と小松原は投に出て....
星女郎」より 著者:泉鏡花
ん、またどこの好事じゃと申して、そんな峠へ別荘でもござりますまい。……まず理窟は措いて、誰だか買主が分らぬでございます。第一その話がござってから、二人や、三人、....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
は無論大切で、念力なしには小雨一つ降らせることもできぬが、しかしその念力は、何は措いても自然の法則に協うことが肝要じゃ。先刻雨を降らせるにつきても、俺達が第一に....
」より 著者:秋田滋
や、それ以上のものでありました。わたくしの生命そのものだったのであります。彼女を措いて、わたくしにはもうこの世に何一つ期待するものはありませんでした。わたくしは....
政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
民衆のものとするために、何よりも緊急なこと、そして何よりも有効な処置は、まず何を措いても民衆に対する政治教育を盛んにすることである。 それには種々雑多な方法が....
式部小路」より 著者:泉鏡花
むらむらと固る雲、額のあたりが暗くなった。 「ウイ、」 と押つけるように猪口を措いて、 「嬉しくねえ、嬉しくねえ、へん、馬鹿にしねえや。何でえ、」 と、下唇....