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掻い
「掻い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掻いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いと思ったからでございましょう。鍛冶の小伜は五六度竹馬を振りまわした後で、べそを
掻いたまま、往来のまん中へ立ちすくんでしまいました。
十一
....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
て、雨にたたかれている廟外の枯柳《こりゅう》をながめながら、片手で、しきりに髪を
掻いている。顔は見えないが、どうやら李の心もちを見透かして、相手にならずにいるら....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ゃ好いのに。」――泰さんは苦笑しながら、その蛇の目を受取ると、小僧は生意気に頭を
掻いてから、とってつけたように御辞儀をして、勢いよく店の方へ駈けて行ってしまいま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
輪に吹く。 「しかし、君、その自から、何だろう。」 とその何だか、火箸で灰を引
掻いて、 「僕は窮屈で困る。母様がああだから、自から襟を正すと云ったような工合で....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
既定の概念を尺度として測定されたものではなかったか。私は稀にはポーロのようには藻
掻いた。然し私のようには藻掻かなかった。親鸞のようには悟った。然し私のようには悟....
「海異記」より 著者:泉鏡花
大尽のお邸に、褄を引摺っていたんだから駄目だ、意気地はねえや。」 女房は手拭を
掻い取ったが、目ぶちのあたりほんのりと、逆上せた耳にもつれかかる、おくれ毛を撫で....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
、つるりと撫でる。 「あッ。」 と、肝を消して、 「まあ、小母さん。」 ベソを
掻いて、顔を見て、 「御免なさい。御免なさい。父さんに言っては可厭だよ。」 と....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
け申しますよ。」と女房は土間を横歩行き。左側の畳に据えた火鉢の中を、邪険に火箸で
掻い掘って、赫と赤くなった処を、床几の門附へずいと寄せ、 「さあ、まあ、お当りな....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
ああ、橋板が、きしむんだ。削ったら、名器の琴になろうもしれぬ」 そこで、欄干を
掻い擦った、この楽器に別れて、散策の畦を行く。 と蘆の中に池……というが、やが....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
かった。芸当というのは、別荘の側で、後脚で立ち上がって、爪で入口の戸をかりかりと
掻いたのであった。最早別荘は空屋になって居る。雨は次第に強くふって来る。秋の夜長....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
それではどうぞ、思い直して、」 「私はもう、」 と衝と前褄を引寄せる。岩の下を
掻いくぐって、下の根のうつろを打って、絶えず、丁々と鼓の音の響いたのが、潮や満ち....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
カチリ、」 と言った。按摩には冴えた音。 「カチリ、へへッへッ。」 とベソを
掻いた顔をする。 欣七郎は引入れられて、 「カチリ?……どうしたい。」 「お簪....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
家鴨は、すっかりその場所が氷で、閉ざされてしまわない様力限り脚で水をばちゃばちゃ
掻いていなければなりませんでした。そのうちしかしもう全く疲れきってしまい、どうす....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
し、親仁は仰向いて鼻筋に皺を寄せつつ、首尾よく肩のあたりへ押廻して、手を潜らし、
掻い込んで、ずぶずぶと流を切って引上げると、びっしょり舷へ胸をのせて、俯向けにな....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
端に薄汚れたが白綸子の大蒲団を敷込んで、柱を背中に、酒やけの胸はだけで、大胡坐を
掻いたのは藪の中の大入道。……納所どころか、当山の大和尚。火鉢を引寄せ、脛の前へ....