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掻き
「掻き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掻きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
まして、手前は後生《ごしょう》が恐ろしゅうございます。」
私が白髪《しらが》を
掻きながら、慌ててこう御答え申しますと、若殿様はまた晴々と御笑いになって、
「い....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
す。」
「じゃ、文句を云う事はないじゃないか。」
豪傑はミットをはめた手で頭を
掻きながら、意気地《いくじ》なくひっこんでしまった。が、今度は自分の級の英語の秀....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
》きを使いながら、忘れられたように坐っていた。それが洋一の足音を聞くと、やはり耳
掻きを当てがったまま、始終|爛《ただ》れている眼を擡《もた》げた。
「今日《こん....
「竜」より 著者:芥川竜之介
こぶ》が出来て、痒《かゆ》うてたまらなんだ事があるが、ある日一天|俄《にわか》に
掻き曇って、雷雨車軸を流すがごとく降り注《そそ》いだと見てあれば、たちまちその瘤....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
、じっとその翁を見た。翁は経机《きょうづくえ》の向うに白の水干《すいかん》の袖を
掻き合せて、仔細《しさい》らしく坐っている。朦朧《もうろう》とはしながらも、烏帽....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
たぎる向うは、削《けず》ったような絶壁であった。彼はその流れに沿って、再び熊笹を
掻き分けて行った。するとしばらくして向うの岸へ、藤蔓《ふじづる》を編んだ桟橋《か....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
ご退屈でなければ話しましょうか?」
「どうぞ」
※南田は銅檠《どうけい》の火を
掻き立ててから、慇懃《いんぎん》に客を促した。
* * ....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
余りに紅なり。 桂枝は余りに匂ひ高し。 ソロモンはこう歌いながら、大きい竪琴を
掻き鳴らした。のみならず絶えず涙を流した。彼の歌は彼に似げない激越の調べを漲らせ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
同じく持主は定め難からん。 今はこの土も鋤鍬の責苦のみか 人はその臓腑の奥までも
掻きさぐりぬ。 宝を求めて人は穴を掘りぬ、最も深き縦坑に 悪きものを誘わんとて神....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ふと庭へ走り出た美しい小娘であった。その娘は何でも目に見えるものを皆優しい両手で
掻き抱き、自分の胸に押しつけたいと思うような気分で、まず晴れ渡った空を仰いで見て....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
はそのまま音楽をつづけてはいたが、一座の静寂はかれらの心にまでも喰い入って来て、
掻き散らされた焼木杭に水をかけたように、いつとはなしに愉快な音色はその静寂のうち....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の涙に咽んだことでしょう! そうする中にも私の心は更に他のさまざまの暗い考えに
掻き乱されました。『親にさえ背いて折角三浦の土地に踏みとどまりながら、自分は遂に....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
中に頭がかくれましたが、見る間にまた出て来ます。そしていかにも易々と脚の下に水を
掻き分けて、見事に泳ぎ廻るのでした。そしてあのぶきりょうな子家鴨もみんなと一緒に....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
金が埋まっている筈だから」 老人はこう言ったと思うと、今度もまた人ごみの中へ、
掻き消すように隠れてしまいました。 杜子春はその翌日から、忽ち天下第一の大金持....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
その仙人化されてゆくところに私は大なる興味をおぼえ、快い笑みを浮べつつ歓喜の心を
掻き抱く。私の感受性にうったうる自然の感化は山国生活の最も尊重すべき事の一つであ....