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掻き傷
「掻き傷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掻き傷の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
たしかに手荒く押しこんだり引き出したりしたためにできたものである。顔面にはひどい
掻き傷が多数あり、咽喉《のど》にも黒ずんだ傷と、深い爪の痕《あと》とがあって、被....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
手で縊れて死んだ者があんなに苦悶の表情を留めている例がない。咽喉のあたりに微かに
掻き傷の痕がある。左の中指と右の人さし指の爪が少し欠けけている。それらを綜合して....
「白菊」より 著者:夢野久作
脱獄囚の虎蔵は、深夜の街道の中央に立ち悚んだ。 黒血だらけの引っ
掻き傷と、泥と、ホコリに塗みれた素跣足の上に、背縫の開いた囚人服を引っかけて、太....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
み、かしこの藪蔭に躍り入った。彼の上品な洋袴はところどころ裂け、洋杖を握る拳には
掻き傷ができて血が流れだしたけれど、一郎はまるでそれを意に留めないように見えた。....
「島原心中」より 著者:菊池寛
えいえ、滅相な滅相な』と打ち消しました。 『じゃ、きくがね。あの女の喉のところに
掻き傷があるが、あれはどうしたんだ』 若者は顔が赤くなったかと思うと、黙ってい....
「霧の中」より 著者:豊島与志雄
そうだったと、母は笑っていた。然し実際、正夫は時々、身体のどこかに自分で知らない
掻き傷が出来た。晩の六時をうっかりしてたのである。そんなことも、母が亡くなって、....
「南島譚」より 著者:中島敦
立って歩けなくなった方が負と判定されるようである。それ迄には勿論双方とも抓り傷引
掻き傷の三十ヶ所や五十ヶ所は負うている。結局、相手を素裸にして打倒した女が凱歌を....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ます。それは窓の右側の壁の、床から一メートル四五のところに印された、微かな三本の
掻き傷です。ごく浅い傷ですが、それを見ると、約一センチぐらいの等間隔に置かれた相....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
きっさき》がすこし戦《そよ》いだような、すこし切尖を違えたような、小さな不思議な
掻き傷があって、それからいきなり深い新月なりの傷がはじまるのである。 かりに、....