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掻き立てる
「掻き立てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
掻き立てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「古き小画」より 著者:宮本百合子
うな眼つきをした。彼は、それらの言葉が心の中に入って、じっと眠っていた何ものかを
掻き立てるような感じに打たれたのであった。自分が、昔、昔、未だ壮《さか》りの年で....
「尹主事」より 著者:金史良
方つい出會いがしら問いかけでもしたら、彼はにたにたしながら胡麻鹽の蓬頭をくさくさ
掻き立てる。「なあ、全く不景氣でしてな」いつかも尹主事は私の家にあたふたとやって....
「決戦川中島 上杉謙信の巻」より 著者:坂口安吾
用心しすぎているか、どっちにしても迫力を欠くものにきまっている。敵の不安をさらに
掻き立てるために、我が軍はいつまでも二分したまま平然と敵の仕掛けを待つがよい。我....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
いる。渡船には、頭巾を冠った巡査が一人だけ乗っていて、寒さに手足をすぼめ、曳船の
掻き立てるすさまじい泡を眺めていた。 出島には、もう一点の灯りも見えない。 ....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
似していたが、俳優などに見られるような、厭らしいまでの色気があって、婦人の愛情を
掻き立てるだけの、強い魅力を持っていた。 「この独楽へ現われた文字といえば『淀』....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
れる小屋の地響きや、敵方の上げる閧の声が、千古斧を入れない森林の夜を戦場のように
掻き立てる。 その時、四人の酋長の中、ザンギバール人の酋長が息せき切って走って....
「魔像」より 著者:林不忘
きを持っていたからではない。それは、近江之介の胸底にある喬之助への嫉妬を、一段と
掻き立てる役目をしたからである。 園絵というのは、神田三河町三丁目で質両替油渡....
「性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
という重いうつわものの中を、静かにしかも細緻な顫いをもって、かなり力強く、巧みに
掻き立てるのであった。みるみるうちに濃い緑の液体は、真砂子のような最微な純白な泡....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
に徹していたどころか、真似事にすぎないものだったとみえ、意識するとかえって妄想を
掻き立てるような心態になり易い。――で、結局、何もせずに、ただぼんやりありのまま....