掻取[語句情報] » 掻取

「掻取〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

掻取の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
なぐるようにして、その細帯を解きかけた、片端《かたはし》が土へ引こうとするのを、掻取《かいと》ってちょいと猶予《ためら》う。 (ああ、ああ。)と濁《にご》った声....
婦系図」より 著者:泉鏡花
方は発奮んだと見えて、コロコロコロ。 これを聞いて、屈んで、板へ敷く半纏の裙を掻取り、膝に挟んだ下交の褄を内端に、障子腰から肩を乗出すようにして、つい目の前の....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
て、兄と一緒に土を起し始めた。二人は腰に差した鎌を取出して、時々鍬に附着する土を掻取って、それから復た腰を曲めて錯々とやった。 「浅間が焼けますナ」 と皆な言....
丹下左膳」より 著者:林不忘
……ということは、もとより田丸主水正は知らない。 椎《しい》たけ髱《たぼ》にお掻取《かいと》り、玉虫色の口紅《くちべに》で、すっかり対馬守お側《そば》つきの奥....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、箱文庫。 含羞む瞼を染めて、玉の項を差俯向く、ト見ると、雛鶴一羽、松の羽衣|掻取って、曙の雲の上なる、宴に召さるる風情がある。 同じ烏帽子、紫の紐を深く、....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
方へ来ねえ」 と半治は立廻りながら小兼の油断を見済まして剃刀を叩き落し、手早く掻取りて、 半「さア、もう大丈夫だ、此の阿魔女めが」 といきなり髻を手に引攫ん....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
たく間に立つよとせし、矢のごとく駈け出して、曲り角にて見えずなりぬ。 頭巾をば掻取りたる、小親の目のふち紅かりき。 「貴女。」 声かくるに、心着きたまいけむ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
と顔だけ見せて覗いたが、直ぐに莞爾して、縁側を奥座敷へ上った姿は…… 帯なし、掻取り気味に褄を合せて、胸で引抱えた手に、濡手拭を提げていた。二間を仕切った敷居....
多神教」より 著者:泉鏡花
て、引立てて―― 村人ら、かつためらい、かつ、そそり立ち、あるいは捜し、手近きを掻取って、鍬、鋤の類、熊手、古箒など思い思いに得ものを携う。 後見 先へ立て、先....
かもじの美術家」より 著者:神西清
名してありました。 リュボーフィ・オニーシモヴナは、その手紙をすぐさまペチカの掻取り口で燃やして、余人はもとより当の縞服の婆さんにさえ口外せずに、夜っぴて神に....
誓之巻」より 著者:泉鏡花
した。上杉さん、大丈夫、駈けてみましょう。門まで、」 といいあえず、上着の片褄掻取りあげて小刻に足はやく、颯と芝生におり立ちぬ。高津は見るより、 「あら、まだ....
活人形」より 著者:泉鏡花
はない。どれ、藤を進げますから。と例の被を取除くれば、この人形は左の手にて小褄を掻取り、右の手を上へ差伸べて被を支うるものにして、上げたる手にて飜る、綾羅の袖の....
三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
おいで」 私はそう叫ぶようにして云いながら、腐敗部分をがりがりと、手早くメスで掻取った。彼女はそして、暫くは(きゃあきゃあっ!)と悲鳴を続けていたが、次第に楽....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
を組み敷いて首を掻き取ります心得で、只今この黒羅紗の頭巾を突き破り、惣兵衞の首を掻取り、直様此の場で切腹いたし、草場へ参った其の上で本意を遂げざるお詫をいたしま....