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揉まれる
「揉まれる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揉まれるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
っているが、一番刈りのとはちがって、茎が細々と痩せて、おりからのささやかな風にも
揉まれるように靡《なび》いていた。そして空はまた雨にならんばかりに曇っていた。何....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
た。だから自分は米国渡航を賛成したのであった。自分は考えた、彼女が二三年も米国に
揉まれると、実にエライ女になって来る。然るに今Fさんの言を聞けば、彼女は短かい期....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
ないように封鎖した彼は、また他人の心へ、光線を送り、見出すことは出来ない。絶えず
揉まれる、落付かない、不真実な周囲を感じる正隆は、凝《じっ》と、寂しい、腹立たし....
「海」より 著者:梶井基次郎
を用意して荒天のなかを救助に向かった。しかし現場へ行って見ても小さなランチは波に
揉まれるばかりで結局かえって邪魔をしに行ったようなことになってしまった。働いたの....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
い、茶の一杯も飲むくらいが何よりの楽み、それに私はまア此の疝気が有るので、疝気を
揉まれる心持は堪えられぬて、湯に這入ってから横になって疝気を
揉まれるのが何より楽....
「現代の主題」より 著者:宮本百合子
、ゆっくり考えてみるために止まる時間さえ与えない。体が、混んだプラットフォームに
揉まれるばかりか、精神も押され押されて一つの扉口をいや応なく通過させられる状態に....
「討論に即しての感想」より 著者:宮本百合子
事実を示していると思います。もしここに一人の作家があってあの当時の経済闘争の中に
揉まれる働く人々をとらえ、その闘争と闘争の過程におこるすべての人間的、社会的な問....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ようこの上なし。……あれ、あんなあの、握飯を拵えるような手附をされる、とその手で
揉まれるかと思ったばかりで、もう堪らなく擽ったい。どうも、ああ、こりゃ不可え。」....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と》の緒を締めろとはここなんだぜ、親方」 「何だかわからないよ」 「高い木は風に
揉まれるというやつさ……親方が大当てに当てたもんだから、世間から目ざされるように....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
など出来ない。涙は、私のむけたような心の上に落ちます。
ユリには、この人生に、
揉まれるなりに揉まれつつそこからぬけて行くようなところより、頭を下げ、体をかため....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ころがあります。すぐ前で、八ツ手と青木の赤い実が、突然の激しい風に吹きあおられて
揉まれるのが見えたり、脚が痛いから坐り直したり、いろいろと。 派出さんかえって....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
というような縁で、この男と女房と養子との守勢的打算生活の態度も特徴的です。時代に
揉まれる農家の人々が、そこを棹さしてゆく、おどろくべき頭の働かせかた、二十年昔の....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
頼母様、オ、お助けくださりませーッ」 乱れた衣裳、髻千切れた髪、蒼白な顔、嵐に
揉まれる牡丹桜とでも云おうか、友禅の小袖の袖口からは、緋の襲着がこぼれ、半分解け....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
ーで闇市もさびれたが、今日の闇市はまだ昼前だというのに、ぞろぞろと雑踏していた。
揉まれるようにして、歩いていると、 「大将! 靴みがきまひょか」 二人の少年か....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
あまり大きく明けない。その狭い口から一度に押込もうとするのであるから、押される、
揉まれる、突かれる、女や子供は悲鳴をあげる。実に阿鼻叫喚ともいうべき苦しみを凌い....