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「揉み消す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揉み消すの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
いて、天幕は鬼火のように燃え上がる。 「ヤア、火事だ火事だ」と、周章《あわ》てて揉み消す。火の粉は八方に散る。 「これは迚《とて》もいかん。寧《むし》ろ廃殿の中....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
丸多の店も無事に助かるということを考えれば、高いようで廉いものだ」 この事件を揉み消すには、まず岡っ引の口を塞がなければならないというので、万次郎は多左衛門か....
戦雲を駆る女怪」より 著者:牧逸馬
の蓋《ふた》を取る。底に隠された手紙が、燃えかかっているのだ。掴《つか》み出して揉み消す。読んでみる。"M ―― Y" という署名があった。 みんな恋文なので....
爆弾太平記」より 著者:夢野久作
中の方では如才なく事を運んだらしい。吾輩との妥協を絶望と見て取って暗々裡に事件を揉み消すと同時に、同じような手段でもって総督府の誰かを動かしたものと見える。吾輩....
旅愁」より 著者:横光利一
左翼の新聞売子が叫びながら通る。その険しい声の後から右翼の新聞売子が、またそれを揉み消すような声を張り上げて迫ってゆく。その後からまた左翼、右翼と、続続とつづい....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
は掛声と合言葉に過ぎぬものとならざるを得なかったのだ。――だが掛声によって矛盾を揉み消すやり方は、単純に挙国主義の一致主義=一元論だけには限らない。民政党は国防....
妖婦」より 著者:織田作之助
かし父親はそれ以上に驚いて、 「莫迦なことを云うもんじゃねえ」 と安子の言葉を揉み消すような云い方をしたが、ふと考えてみれば、安子のような女はもうまともな結婚....
回想録」より 著者:高村光太郎
の男にせびって到頭その秘法を教わった。例えば真赤におこっている炭火を素手に載せて揉み消すことが出来た。堅炭のような強い火ほどいいのである。小学校には昔は炭火をお....
性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
から失火して、屋根へ火がぬけたことがあった。まだ宵のくちであったから、火はすぐに揉み消すことが出来た。けれどもあとで気がつくと父の姿が見えなかった。捜すと父は本....