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揉める
「揉める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揉めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
二名出張し来りて此時までも共々に手を取りて老人の死骸を検め居たれば余は一方に気の
揉める中にも又一方に医官が検査の結果|如何と殆ど心配の思いに堪えず、凡そ医師|二....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
「やっぱりすうっと胸のすくような傷痕をしてでござんすな。今宵からまたみなさん気の
揉める方がお出来でありんしょう。――わちきも水がほしゅうなりました」 呼ぶ声、....
「縮図」より 著者:徳田秋声
けに小菊に人情も出て来るのであった。 しかし客はそればかりではなく、松島も気が
揉めるので、ここへ出てから二年目、前借もあらかた消えたところで、彼女は思い切って....
「春昼」より 著者:泉鏡花
でも其奴らの中から救って遣りたい感じが起った。家庭の様子もほぼ知れたようで、気が
揉める、と言われたのでありますが、貴下、これは無理じゃて。 地獄の絵に、天女が....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
――しっとりとちと沈んだくらい落着いた婦なんだが、実際その、心も空になるほど気の
揉めるわけがあって――思い掛けず降出した雪に、足駄でなし、草鞋でなし、中ぶらりに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
人の男にも自在に許すことのできる立場にいる女を、恋の相手として持つことほど、気の
揉めることはないはずです。落ちて行くところは、他人には指一本もささせずに、己《お....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
には気軽く訊ねた。「散々|私を待たして置いて来る早々沈んで了って。何で其様な気の
揉めることがあるの? 好い情人でも何うかしたの?」 「遅くなったって私が故意に遅....
「或る日」より 著者:宮本百合子
心に弁解的説明をした。 「相談しなかったのはあやまるよ。然し、本当に五月蠅い気の
揉める婆《ばば》じゃないか」 彼は、さっきれんが一年にたった一度のクリスマスと....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
へ来ていたの。そして、一揉めしたのよ。」 前川は、さすがにいい気持がせず、 「
揉めるって、どうして……」やや、せき込んで訊ねた。 「つまり、美沢さんは、私と結....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
そうだよ帆綱を握ってな。……もう直きにお前ともおさらばだ。ああ、だが本当に気が
揉めるなあ」 フラリと甚内は出て行った。 顔を上げて見ようともせず、なお甚三....
「俳優倫理」より 著者:岸田国士
尊心を傷けられるように感じられるかも知れない。その不満を公然表明する。そこで役が
揉めるということになる。これは恐らく芝居始って以来、興行者、或は演出家が、この俳....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
なさ腰を馬車台に打ちて宙に跳ね上りあたかも人間を鞠にして弄ぶが如し。目は眩み腹は
揉める。死なざりし事を幸いとして、東京神田万世橋の傍らへ下ろされたり。この時の予....
「中支遊記」より 著者:上村松園
思いだす。あれだけの自動車がいつ客を乗せる番に廻り合わせるのかと思っただけで気が
揉めるであろうのに、支那人は悠々と待っているのであろう。 連絡船にて ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
またどんな仔細がないとも限らぬが、少しも気遣はない、無理に助けられたと思うと気が
揉めるわ、自然天然と活返ったとこうするだ。可いか、活返ったら夢と思って、目が覚め....
「妻」より 著者:神西清
灯を消し、頭からすっぽりくるまった。 『まったくのところ、何だっておれはこう気が
揉めるんだ?』と私は思った、『一たいなんの力がこのおれを、蛾が灯に牽きつけられる....