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揉合
「揉合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揉合の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ない。 ただ夫人は一夜の内に、太く面やつれがしたけれども、翌日、伊勢を去る時、
揉合う旅籠屋の客にも、陸続たる道中にも、汽車にも、かばかりの美女はなかったのである。 明治三十六(一九〇三)年五月....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
えながら、双手を挙げて子供等を制した。栗鼠ばかりでない。あと三個も、補助席二脚へ
揉合って乗ると斉しく、肩を組む、頬を合わせる、耳を引張る、真赤な洲浜形に、鳥打帽....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
混雑で、ただ停車場などと、宿場がって済してはおられぬ。川留か、火事のように湧立ち
揉合う群集の黒山。中野行を待つ右側も、品川の左側も、二重三重に人垣を造って、線路....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
船頭の様子も仔細ありげで、夜は深し、潮も満ちて不気味千万、いい合わせたように膝を
揉合い、やみを透すと、心持、大きな片手で、首尾の松を拝んだような船の舳に、ぼっと....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
両坑を取締る地上事務所から到着した救援隊は、逃げ出ようとする坑夫達と、広場の前で
揉合っていた。 どん尻の炭車に飛び乗って、竪坑口へ急ながらも、しかし係長は捨て....
「世間師」より 著者:小栗風葉
、ちょうど取引会所が目についた。盛んに米や雑穀の相場が立っている。広い会所の中は
揉合うばかりの群衆で、相場の呼声ごとに場内は色めきたつ。中にはまた首でも縊りそう....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
や、手を引いていた農民達が、再びわッと犇めき立つと、不審な怒気を爆発させながら、
揉合い押合ってまたバラバラと石つぶての襲撃を始めました。然しその刹那、必死に手を....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
ゃアねえから、命はやられねえ……危ねえ」 と刄物を※取ろうとするを、渡すまいと
揉合う危なさを見かねて、お柳は二人に怪我をさせまいと背後へ廻って、長二の領元を掴....
「われを省みる」より 著者:宮本百合子
たれないでしょう。けれども、最も低い声で囁けることは、こんな自己と外界との劇しい
揉合いを誰でも一度は経験するとしたなら、いざ自己の落付こうとする時、殆ど無意識に....
「芝居狂冒険」より 著者:夢野久作
……ヒ……人殺しいイ……」 男は短刀を拾おうとした。万平は拾わせまいとして又|
揉合った。 「……泥棒ッ。誰か来てくれッ。人殺しッ」 男は万平を腰車で投飛ばし....
「名娼満月」より 著者:夢野久作
み込んだ。 賃銀がよかったのでシロカネ屋の老爺は、さほど怪しみもせずに、両手を
揉合わせて引受けた。六百斤のナマコを三日三夜がかりで一万枚に近い小判型に打抜いて....