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「描出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

描出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春の盗賊」より 著者:太宰治
ひっかかり、「私」という主人公を、一ばん性《しょう》のわるい、悪魔的なものとして描出しようと試みた。へんに「いい子」になって、人々の同情をひくよりは、かえって潔....
ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
最後に私はこの一編の未熟な解説が、ルクレチウスの面影の一側面をも充分正確に鮮明に描出することを得なかったであろうことを恐れる。そうしてこの点について読者の寛容を....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
―とさえ言えば、いかに「哈爾賓」な、あまりにハルビンな火太立であるかが充分以上に描出されたことになろう。 窓|硝子をとおしてまだぼんやりと前の通りを見下ろして....
人の言葉――自分の言葉」より 著者:寺田寅彦
四 「京師に応挙という画人あり。生まれは丹波の笹山の者なり。京にいでて一風の画を描出す。唐画にもあらず。和風にもあらず。自己の工夫にて。新裳を出しければ。京じゅ....
現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
えないほど、作者としての態度が異なっていることだ。前者においては、感覚的な新鮮な描出をねらってる作者の姿が見えるし後者においては、心理的な緊密さを求めてる作者の....
意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
である。 そういう意欲の窒息を、少し古いが、ゴンチャロフはオブローモフに於いて描出した。オブローモフは、数多の農奴を所有する富裕なロシアの貴族である。そして始....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
った。 彼は自分のうちで相衝突してるたがいに矛盾せる力に駆られながら、また、描出することはできないが、しかし誇らかな喜びをもって感ぜらるる沸きたった力強い生....
映画雑感(Ⅵ)」より 著者:寺田寅彦
。そうして球技場の眩しい日照の下に、人知れず悩む思いを秘めた白衣のヒロインの姿が描出されるのである。 つまらない事ではあるが、拘留された俘虜達が脱走を企てて地....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
味ひくや秋夜の壁によりかかり みどり 之等は材料は有きたりの物乍ら、取扱い描出が嶄新である。時雨の季感は従であって、此句の主眼は餅をやいてる子供らなのであ....
桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
と、ひえひえとある腕の感覚も、鬢の毛にふれた一朶の桜をうち仰ぐ名妓照葉の面わも、描出も、すっかり近代的なものである。 花の戸にぬぎも揃わぬ草履かな 多代女 ち....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
腹し、腸を掴み出し、投げ付けたのが紙帳へ中り、それが蜒り、それが飛び、瞬時にして描出したような模様であった。一所にベットリと、大きく、楕円形に、血痕が附いている....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
体、親兵衛は少年というよりは幼年というが可なるほどの最年少者であって、豪傑として描出するには年齢上無理がある。勢い霊玉の奇特や伏姫神の神助がやたらと出るので、親....
「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
紙洗”ですが、しかしこれは能楽そのものをそのままに取ったのではありません。小町の描出を普通の人物に扱ったものですから、画面の小町は壺織の裲襠に緋の大口を穿ってい....
雨の上高地」より 著者:寺田寅彦
ような明るい銀灰色の条痕を成して、それがこの山の立体的な輪郭を鋭く大胆なタッチで描出しているのである。今までにずいぶん色々な山も見て来たが、この日この時に見た焼....
動く絵と新しき夢幻」より 著者:小川未明
る。よし単調な色彩であっても、そこに一種云うべからざる魅力と、奪うべからざる力を描出し得ると思う。この事はいつか詳しく云いたいと思っている。 僕は批評と云わず....