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揚場
「揚場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揚場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
《とも》をして行ったそうである。 彼らは筑土《つくど》を下りて、柿の木横町から
揚場《あげば》へ出て、かねてそこの船宿にあつらえておいた屋根船に乗るのである。私....
「新生」より 著者:島崎藤村
添いながら歩いて行った。柳橋を渡って直《すぐ》に左の方へ折れ曲ると、河岸の角に砂
揚場《すなあげば》がある。二三の人がその砂
揚場の近くに、何か意味ありげに立って眺....
「「紋」」より 著者:黒島伝治
して話をきいた。 それは、船が本土を出帆するまぎわになると、放り上げた猫が、荷
揚場から、又船へ飛び乗ろうとしているのだった。それを見つけると船方は、早速、水荷....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
です。これは前の太夫さんとは段ちがいで、おなじ旗本と云っても二百石の小身、牛込の
揚場に近いところに屋敷を有っている今宮六之助という人です。この人が嘉永の末年に御....
「家」より 著者:島崎藤村
われる位で、薄く曇った二月末の日が黒ずんだ水に映っていた。 船から河岸へ通う物
揚場の石段の上には、切石が袖垣のように積重ねてある。その端には鉄の鎖が繋いである....
「足迹」より 著者:徳田秋声
人の影もちらほら見えていた。ぐっしょり雨に濡れたお庄は、灯影を避けるようにして、
揚場の方へ歩いて行った。 湯島の家へ着いたのは、もう九時ごろであった。元町の水....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
くこの頃新聞にかくではないか、紅裙さ。給仕の紅裙が飯田町だろう。炭屋、薪屋、石炭
揚場の間から蹴出しを飜して顕われたんでは、黒雲の中にひらめく風情さ。羅生門に髣髴....
「鑢屑」より 著者:寺田寅彦
上に、何かしら青い粉のようなものがこぼれている。よく見ると、たぶん、ついそこの荷
揚場から揚げる時にこぼれたものだろう、一握りばかりの豌豆がこぼれている。それが適....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
。やがて黎明が刻々と広がり明るくなって、勤勉な朝となった時には彼等は静かな町の荷
揚場や橋の上に人間でも家畜でも一々指さす事が出来た。やがて彼等は今しがた沈んだ月....
「妖婦」より 著者:織田作之助
神田の司町は震災前は新銀町といった。 新銀町は大工、屋根職、左官、畳職など職人が多く、掘割の荷
揚場のほかにすぐ鼻の先に青物市場があり、同じ下町でも日本橋や浅草と一風違い、いか....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
がうつって、筆太《ふでぶと》の一行が瞬いて読める――「御石場番所」 水戸様の石
揚場なのである。 番所の階下《した》は、半分が土間、はんぶんが、六畳のたたみ敷....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
銀座街頭の燈火より遥《はるか》に美麗である。 堀割の岸には処々《しょしょ》に物
揚場《ものあげば》がある。市中《しちゅう》の生活に興味を持つものには物
揚場の光景....
「水魔」より 著者:田中貢太郎
しかにあるので、そっと手をかけてみると扉の枢はすぐ落ちた。そこはその傍の問屋の荷
揚場らしい処で、左側に山口家の船板塀があり、右側に隣の家の煉瓦塀があった。二人は....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
まに眼にうつッた。――が、いつかそこには東京通船株式会社の、倉庫なり事務所なり荷
揚場なりの古トタンをぶつけた、大きな、うす汚いバラックがいわれなく立ちはだかって....
「それから」より 著者:夏目漱石
影を半町程手前から認めた。彼は慥《たしか》にそうに違ないと思った。そうして、すぐ
揚場《あげば》の方へ引き返した。 彼は平岡の安否を気にかけていた。まだ坐食《い....