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揚幕
「揚幕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揚幕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
だ。 「や、や、天から降ったか、地から湧いたか」 と、入道が叫ぶと、その男は、
揚幕を引いて花道へ出た役者のような、気取った口調で、 「流れ星のように、天から降....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
へ追込む時の如き、二人とも満面夕立のような汗が烏帽子際から滴り落ちるのであった。
揚幕を背にした景清の利彦氏は真赤に上気して、血走った眼を互い違いにシカメつつ流れ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
|身構す。大入道、大手を拡げてその前途を遮る。 鐘の音。 侍女等、凜々しき扮装、
揚幕より、懐剣、薙刀を構えて出づ。図書扇子を抜持ち、大入道を払い、懐剣に身を躱し....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
―」 「――まだそのつれを言うか――」 「――飛魚しょう、飛魚しょう――」 と
揚幕へ宙を飛んだ――さらりと落す、幕の隙に、古畳と破障子が顕われて、消えた。……....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
昼にも頭が光る、と人も言い、我も許した、この野雪与五郎。装束|澄いて床几を離れ、
揚幕を切って!……出る! 月の荒野に渺々として化法師の狐ひとつ、風を吹かして通る....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
くらしに足りない。なくなれば、しゃっぽで、袴で、はた、洋服で、小浜屋の店さして、
揚幕ほどではあるまい、かみ手から、ぬっと来る。 (お京さんの茶の間話に聞くのであ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
ちゃんと打合せが出来ていたものと見え、すっかり着飾ったベッシェール夫人は芝居の
揚幕の出かなんぞのように悠揚と壁に剔ってある庭の小門を開けて現われた。黒に黄の縞....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
止み寂然となりぬ。粛然として身を返して、三の松を過ぎると見えし、くるりと捲いたる
揚幕に吸わるるごとく舞込みたり、 「お茶はよろし、お菓子はよしかな、お茶はよろし....
「多神教」より 著者:泉鏡花
次第に聞惚れ、うっとりとなり、おくれ毛はらはらとうなだれつつ仮睡る。) 仕丁 (
揚幕の裡にて――突拍子なる猿の声)きゃッきゃッきゃッ。(乃ち面長き老猿の面を被り....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
の方が知っている。ただしこの様子では、胸も痛めず、怪我はしない。 しゃり、り、
揚幕。艶麗にあらわれた、大どよみの掛声に路之助|扮した処の京の芸妓が、襟裏のあか....
「山吹」より 著者:泉鏡花
嫌よう。 夫人 (人形使の皺手を、脇に掻込むばかりにして、先に、番傘をかざして、
揚幕へ。――) 画家 (佇み立つ。――間。――人形使の声
揚幕の内より響く。) ―....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
花かと思う。 ――のうその衣は此方のにて候、何しに召され候ぞ―― 幕は揚った。
揚幕の霞を出づる、玉に綾なす姿とともに、天人が見はるかす、松にかかった舞台の羽衣....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
皺だらけの、わざと坊さんの法衣を着た、印度人が来て、袖を曳いて、指示をしながら、
揚幕へ連れ込んで、穴段を踏んで、あの奈落……きみもよく知っていようが、別して地方....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
とで、わたしは頗る緊張した気分で、この中幕の舞台と向かい合った。 やがて義経が
揚幕からあらわれた。俳優は今の羽左衛門の父の家橘である。つづいて四天王が出て来て....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
―そういって、あなた……」 「…………」 「げんにいわれました、あたくしも。――
揚幕へまわってみているといきなり入って来て、何だ、要ちゃん、何をみているんだ? ....