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握り飯
「握り飯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
握り飯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
僚の一人二人と一しょに、やはり一ひしぎにつぶされた学校の外の仮小屋で、炊き出しの
握り飯を手にとった時とめどなく涙が流れた事は、未だにどうしても忘れられません。
....
「猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
蟹《かに》の
握り飯を奪った猿《さる》はとうとう蟹に仇《かたき》を取られた。蟹は臼《うす》、蜂....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
え。もういい加減にしましょうよ。伊豆屋の見舞なら、これから家《うち》へ引っ返して
握り飯の支度でもさせた方がようござんす。どうせ消《し》めった後でなけりゃあ行かれ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
しながら五人の男は、舵座におこされた焜炉の火のまわりに慕い寄って、大きなお櫃から
握り飯をわしづかみにつかみ出して食いむさぼる。港を出る時には一かたまりになってい....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
事をいうて時間を送る、恋はどこまでももどかしく心に任せぬものである。三人はここで
握り飯の弁当を開いた。 十 「のろい足だなあ」と二、三度省作から小言....
「地球盗難」より 著者:海野十三
って爆弾投下術はなかなか巧みだ。――そこに転がる黒いものは袋だった。その中には、
握り飯とキャラメルとが入っていた。佐々砲弾の心尽しだった。 大隅学士は、空中か....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
渡し小屋に寝起きをしている平助という爺さんが余りに気の毒に思って、あるとき大きい
握り飯を二つこしらえてやると、その時ばかりは彼も大層よろこんでその一つを旨そうに....
「幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
らい遭難の船員たちを元気づけたかしれなかった。 次に海水にびしょびしょに濡れた
握り飯が一箇ずつ分配された。おはちを持ちこんであったので、
握り飯にもありつけたの....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
沢山あったけれど、もうあたりが暗くなって駄目だった。途中で貰ってきた手拭づつみの
握り飯を二人で喰べると、昼間の疲れが一時に出てきた。 二人はだいたい睨み合って....
「木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
。まだこっちにもこんな物があるんです。」 もう一つの竹の皮包みには、食い残りの
握り飯と刻みするめのようなものがはいっていた。 「まあ、これを子供衆にあげてくだ....
「兜」より 著者:岡本綺堂
つの間に用意してくれたのか、蓑笠のほかに新しい草鞋までも取揃えてあった。腰弁当の
握り飯もこしらえてあった。勘次郎はその親切をよろこんで懐ろから一枚の小判を出した....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
よアイヌ今何処に居る アイヌ相手に金儲けする店だけが 大きくなってコタンさびれた
握り飯腰にぶらさげ出る朝の コタンの空に鳴く鳶の声 岸は埋め川には橋がかかるとも....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
れている。実際、虫けらもおらず、作物もない冬季ででもなければ、彼は人がやっても、
握り飯やふかし芋は口にしなかった。五十歳に近い彼が若者のように漆黒の毛髪を持ち、....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
た。男は二人を森の中に待たせて置いて、再びどこかへ食い物を探しに行ったが、今度は
握り飯に乾魚のあぶったのを取り添えて持って来た。こうして、ここで午飯を食って、三....
「九月四日」より 著者:岡本綺堂
久しぶりで麹町元園町の旧宅地附近へ行って見た。九月四日、この朔日には震災一週年の
握り飯を食わされたので、きょうは他の用達しを兼ねてその焼跡を見て来たいような気に....