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「握力〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

握力の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
小さき者へ」より 著者:有島武郎
になった。医師と産婆は場所を忘れたように大きな声で産婦を励ました。 ふと産婦の握力がゆるんだのを感じて私は顔を挙《あ》げて見た。産婆の膝許《ひざもと》には血の....
電気看板の神経」より 著者:海野十三
ッと身体をしめつけて来るのを感じた。彼はいつもとはまるで反対の気持で、鈴江の強い握力に、かぎりなき愛着を感じてゆくのであった。 と、まアこういう話なんだがね、....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
だが彼の画風は、理窟っぽいぎすぎすしたところは毛頭ありません。彼の聡明な物象の把握力、日本人特異の単純化と図案化。それに何という愛憐の深い美の象徴の仕方でしょう....
地球要塞」より 著者:海野十三
かけごえをして、私の腕を掴んだ。 「うむ、痛い! 骨が、折れる……」 X大使の握力は、まるで万力機械《まんりききかい》のように、強かった。幻影ではないX大使で....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
オロギー性・観念性は、処で、ファシズム・イデオロギーのイデオロギーとしての事物把握力を貧弱にせざるを得ない。なぜなら単なる観念としての観念は存在に対して殆んど全....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
色沢を持っていた。腕は非常に長くて筋肉が張り切っていた。手も同様で、並々ならぬ把握力を持っているように見えた。極めて繊細に造られたその脚も足も、上肢と同じく露出....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
は決してあせらない。われ等は常に人類の福祉を祈りつつ、心から真理に対する人類の把握力の増大を祈願して居るものである。 (評釈) 霊訓中でも、この一章に説く所は、....
東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
れだけの中央集権の実があったろうか。中央政府の勢力が広く波及したようでも、その把握力が極めて脆弱《ぜいじゃく》なものでなかったろうか、中枢がただ一つであったとい....
過渡人」より 著者:豊島与志雄
し淡い……そうだ、淡い日々だ。 俺の心のうちに何かが緩んできたのは事実だ。生の握力が緩んでいると云っても差支えない。若い時分から俺はしっかと自分の生活を握って....
最近の菊池寛氏」より 著者:豊島与志雄
明な心の働きである。そして、尋常なものを尋常な眼で最もよく見て取る所に、力強い把握力が生れ、普遍性が生れる。 以上五つの印象をよせ集めると、菊池寛の縮図が出来....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
こもった。三秒。五秒。グッと握りしめた。いよいよ。長平はつづくものを期待したが、握力はにわかに弛んだ。とけたのだ。何秒かの空白ののち、長平は自分の手がすでに誰に....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
い。ただ手首がいかにも太く、そうして指がいかにも長く、船頭の手などに見るような、握力の強そうな手であった。さて最後に足であるが、足は最も特色的であった。というの....
ロボットとベッドの重量」より 著者:直木三十五
は、投出していた両手で――右手は、ベッドの端を左手で下の毛布を掴んだ。そして、把握力が加わってくるらしく、毛布を掴んだまま、俊太郎の身体ぐるみ、じりじりと、自分....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
来るかそれが楽しみに候。人間は自分の力も自分で試して見ないうちは分らぬものに候。握力などは一分でためす事が出来候えども自分の忍耐力や文学上の力や強情の度合やなん....
ルヴエルの『夜鳥』」より 著者:平林初之輔
日本には厳密な意味でのコントの作家がない。コントにふさわしい断面もしくは刹那《せつな》において人生をとらえる俊敏な把握力とこれを軽快に表現する表現力とをそなえた作家が日本にはまだない。偉大なる長編....