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揮発
「揮発〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揮発の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
か非科学的だ。椅子が燃え、柱が燃えるなど、ふだんは、なかなか想像できない。障子に
揮発油をぶっかけて、マッチで点火したら、それは大いに燃えるだろうが、せいぜいそれ....
「弓町より」より 著者:石川啄木
ある。 そうして「詩人」とか「天才」とか、そのころの青年をわけもなく酔わしめた
揮発性《きはつせい》の言葉が、いつの間にか私を酔わしめなくなった。恋の醒めぎわの....
「家霊」より 著者:岡本かの子
ら》えた顔の小女が学生たちの席へ運ぶと、学生たちは娘への影響があった証拠を、この
揮発性の野菜の堆さに見て、勝利を感ずる歓呼を挙げる。 くめ子は七八ヶ月ほど前か....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
いた)の火焔が消滅するというのである。 燃焼している間に、太陽の組成分中で最も
揮発性のもの、また最も精微なものが失われる。そうして、そういうものが集まって微塵....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
すべての色彩と形が水中へ入れば一律に化生せしめられるように人間のモラルもここでは
揮発性と操持性とを失った。いわば善悪が融着してしまった世界である。ここでは旧套の....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
かけ、縁側に椅子を出して、そこから眺めた。初夏の風がそよそよと彼を吹いた。青葉の
揮発性の匂いがした。ふと彼は湖畔の試験所に飼われてある中老美人のキャリコを新らし....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
きどき店の奥のスタンドで、玻璃盞にソーダのフラッシュする音が、室内の春の静物図に
揮発性を与えている。 人を関いつけないときは、幾日でも平気でうっちゃらかしとく....
「河明り」より 著者:岡本かの子
もので、柱は脚立のように高く、床へは階段で上った。粘って青臭い護謨の匂いが、何か
揮発性の花の匂いに混って来る。 壁虎がきちきち鳴く、気味の悪い夜鳥の啼き声、―....
「島原心中」より 著者:菊池寛
まっていたこと、男が持っていた短刀をお主婦がもぎ取ったこと、短刀を使う前に二人は
揮発油を飲んだが、死に切れなかったこと。 僕は、そうした前後の事実をきいた後、....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
に書物の手入をしていた。何でも久しく抛って置いたので、書物にカビが生えたと云って
揮発油を綿に浸ましてせっせと拭いていたのだった。 「所が可笑しいんですよ」 谷....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの
揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その他の成分は私に考えつ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
斗があって、棚の上には密封したガラス罎がたくさんにならんでいた。その罎には無色の
揮発性の物を貯わえてあって、それはなんだかわからない。そのうちに燐とアンモニアの....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
の地揺れのたびに落ちるマロニエやプラタアヌの落葉。 テーブルの上へ、まだ活字が
揮発油で濡れているパリ・ミデイの一版を抛り出して、キャフェの蕭条をまづ第一に味わ....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
、そこから、淡い藤色をした小腸の端がのぞいている。 船員は、群れてくる船蟲を、
揮発油で防ぎながら、 「ねえ旦那、こりゃ他殺でしょうかねえ。きょう日は、裸で涼む....
「生不動」より 著者:橘外男
内儀さんと亭主の妹との三人で、夜業をやっていながらふとした粗相で傍に置いてあった
揮発の大罐に火が移って、三人とも頭からその爆発を浴びてしまったというのであった。....