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「揮発性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揮発性の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
弓町より」より 著者:石川啄木
ある。 そうして「詩人」とか「天才」とか、そのころの青年をわけもなく酔わしめた揮発性《きはつせい》の言葉が、いつの間にか私を酔わしめなくなった。恋の醒めぎわの....
家霊」より 著者:岡本かの子
ら》えた顔の小女が学生たちの席へ運ぶと、学生たちは娘への影響があった証拠を、この揮発性の野菜の堆さに見て、勝利を感ずる歓呼を挙げる。 くめ子は七八ヶ月ほど前か....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
いた)の火焔が消滅するというのである。 燃焼している間に、太陽の組成分中で最も揮発性のもの、また最も精微なものが失われる。そうして、そういうものが集まって微塵....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
すべての色彩と形が水中へ入れば一律に化生せしめられるように人間のモラルもここでは揮発性と操持性とを失った。いわば善悪が融着してしまった世界である。ここでは旧套の....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
かけ、縁側に椅子を出して、そこから眺めた。初夏の風がそよそよと彼を吹いた。青葉の揮発性の匂いがした。ふと彼は湖畔の試験所に飼われてある中老美人のキャリコを新らし....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
きどき店の奥のスタンドで、玻璃盞にソーダのフラッシュする音が、室内の春の静物図に揮発性を与えている。 人を関いつけないときは、幾日でも平気でうっちゃらかしとく....
河明り」より 著者:岡本かの子
もので、柱は脚立のように高く、床へは階段で上った。粘って青臭い護謨の匂いが、何か揮発性の花の匂いに混って来る。 壁虎がきちきち鳴く、気味の悪い夜鳥の啼き声、―....
播州平野」より 著者:宮本百合子
しらえたばかりで戦争が終って、村へ燃料として分配された。銀灰色の塗料から、きつい揮発性の匂いが立った。今は街道じゅうどの家の背戸からもこの匂いがしているのであっ....
とんびと油揚」より 著者:寺田寅彦
壁の前面に肉片を置いたときにでも、その場所の気流の模様によっては肉から発散する揮発性のガスは壁の根もとの鳥の頭部にはほとんど全く達しないかもしれない。また、ご....
婦人と文学」より 著者:宮本百合子
あるかもしれない」と創作ノートにかかれている。「放浪記」にあった自然発生の一種の揮発性の匂いは世路の向上の間にぬけた。いつか富裕な数奇をこのむ生活雰囲気へ順応し....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
血のように赤い液体が半分ばかり入っていた。とても嗅覚を刺激する液体で、燐と何かの揮発性のエーテルとが含まれているように、私には思われた。その他の成分は私に考えつ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
斗があって、棚の上には密封したガラス罎がたくさんにならんでいた。その罎には無色の揮発性の物を貯わえてあって、それはなんだかわからない。そのうちに燐とアンモニアの....