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揺
「揺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
《ぬぐ》いはじめる。すると前の背むしが一人やはりベンチへ来て腰をかける。時々風に
揺《ゆ》れる後《うし》ろの常磐木。少年はふと背むしを見つめる。が、背むしはふり返....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
日の暮れとともに風が出たらしい。舷《ふなべり》をうつ浪《なみ》の音が、まるで油を
揺するように、重苦しく聞えて来る。その音とともに、日覆をはためかすのは、おおかた....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
し》に敷かれて、しばらくは無我無中のまま、どこからともなく寄せて来る大震動の波に
揺られて居りましたが、やっとその庇の下から土煙の中へ這い出して見ますと、目の前に....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
すと、大きく墨をなすったような両国橋の欄干《らんかん》が、仲秋のかすかな夕明りを
揺《ゆらめ》かしている川波の空に、一反《ひとそ》り反《そ》った一文字を黒々とひき....
「彼」より 著者:芥川竜之介
はつい硝子《ガラス》窓の外に木末《こずえ》の葉を吹かせていた。その葉はまた全体も
揺《ゆ》らぎながら、細《こま》かに裂《さ》けた葉の先々をほとんど神経的に震《ふる....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
《もや》の中に仄《ほの》めいた水には白い小犬の死骸が一匹、緩《ゆる》い波に絶えず
揺《ゆ》すられていた。そのまた小犬は誰の仕業《しわざ》か、頸《くび》のまわりに花....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
秋は、遼東《りょうとう》と日本と変りがない。
繰返して云うが、何小二は馬の背に
揺られながら、創の痛みで唸っていた。が、彼の食いしばった歯の間を洩れる声には、た....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
違おうとした。
ちょうどその刹那《せつな》だった。彼は突然お嬢さんの目に何か動
揺に似たものを感じた。同時にまたほとんど体中《からだじゅう》にお時儀をしたい衝動....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
である。自分はよく、なんの用もないのに、この渡し船に乗った。水の動くのにつれて、
揺籃《ゆりかご》のように軽く体をゆすられるここちよさ。ことに時刻がおそければおそ....
「墓」より 著者:秋田滋
いたいという思いだけが、一種名状しがたい、深い、云い知れぬ興奮で、わたくしの心を
揺ぶるのでした。自分の掌のなかに彼女の手を把り緊めていると、わたくしのこの胸には....
「初雪」より 著者:秋田滋
りに咳をした。彼女はそのたびに、自分の精根を涸らしてしまう、込み上げて来るその動
揺をおさえようとするためなのであろう。透き通るような白い指をその脣に押しあてた。....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
もとの新潟県下第一の豪傑穂垂周吉にあらずして、唖然たる癡呆の一書生なり。馬車の動
揺に精神を撹乱し、単純なる空気を呼吸したる肺臓は砂煙りに混じたる汚濁|臭穢の空気....
「寡婦」より 著者:秋田滋
夜どおし雨が降っていたのです。私は目をあげて上を見ました。と、木の葉のなかで何か
揺れているものがあります。風があったのです。かなり強く風が吹いていたのです。 ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
持ちで、羊をだいてやったように、彼はよく子供を膝にのせ、何時間もぶっつづけに足で
揺り籠をゆすったものだった。 ほかの仕事に加えて、彼は近隣の歌の先生でもあり、....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
た蟻を、その足跡として残して行くだけだ。小屋に住む黒人たちの国に行ってみよ。風に
揺らめく褐色の天幕の下に寝起きする白色アラビア人の住む国へ行ってみよ。ひとりひと....