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「揺す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揺すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
日の暮れとともに風が出たらしい。舷《ふなべり》をうつ浪《なみ》の音が、まるで油を揺するように、重苦しく聞えて来る。その音とともに、日覆をはためかすのは、おおかた....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
った。――と云うのは、天井の両側に行儀よく並んでいる吊皮《つりかわ》が、電車の動揺するのにつれて、皆|振子《ふりこ》のように揺れていますが、新蔵の前の吊皮だけは....
」より 著者:芥川竜之介
った。すると誰かおお声に「おい、しっかりしろ」と云うものがあった。のみならず肩を揺すぶるものもあった。わたしは勿論縁先に腰をおろしているつもりだった。が、ぼんや....
或る女」より 著者:有島武郎
しく曇っていた。そうして泣き入る葉子を大事そうにかかえたまま、倉地は上体を前後に揺すぶって、赤子《あかご》でも寝かしつけるようにした。戸外ではまた東京の初冬に特....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
役者になるかい?」 「あたい、役者なんか厭だア」と、けいちゃんというのがからだを揺すった。 僕は菊子がその子をも女優にならせるという約束をこの通り返り見ないで....
深夜の市長」より 著者:海野十三
で行った仕事については一言もいわなかった。 トロトロと睡ったと思ったら、激しく揺すぶり起された。 「浅間さん、しっかりおしよ。……もうすぐお午のサイレンが鳴る....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
まりかえって、ジュリアの鈴を転ばすような美しい歌声だけが、キャバレーの高い天井を揺すった。 「どうもあの正面の円柱が影をつくっているあたりが気に入りませんな」 ....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
は無理もないんだ」 と、氏は大きな掌で自分の膝小僧を掴み、空気ハンマーのように揺すぶった。が、そのあとでまた気を変えたのか、僕の方へすり寄ってきて、 「ねえ、....
人造人間事件」より 著者:海野十三
ないわ。さあ、これからすぐに、あたしを連れて逃げて下さい」 といって、彼の腕を揺すぶった。 ジョンは、またずり落ちそうになった鞄を抱えなおしてから、ウララの....
海の使者」より 著者:泉鏡花
の面が、脈を打って、ずんずん拡がる。嵩増す潮は、さし口を挟んで、川べりの蘆の根を揺すぶる、……ゆらゆら揺すぶる。一揺り揺れて、ざわざわと動くごとに、池は底から浮....
橋の上」より 著者:犬田卯
が取れて、今にも外れそうになっている欄干へ、猿のように飛び乗り、ぐらぐらとわざと揺すぶったり、ちびた下駄ばきで、端から端までその上を駈けて渡ったりした。 たい....
妖怪学」より 著者:井上円了
るをいう。三本足はいたって動きやすきものにして、その左右に回転するにも、上下に動揺するにも、最も適したる組み立てなり。別してその竹の長さを限り、その結ぶ所の点を....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
組み立てを有するをいう。けだし、三本足の組み立ては、左右に回転するにも、上下に動揺するにも、最も適したるものにして、別して細き竹に重き蓋を載するがごときは、自然....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
お仲間が日本人の余り知らない傑作の複製を挿図した椿岳画伝を出版して欧洲読画界を動揺する事がないとも限られない。「俺の画は死ねば値が出る」と傲語した椿岳は苔下に会....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
き込むかであった。私どもは幼年学校以来の教育によって、国体に対する信念は断じて動揺することはないと確信し、みずから安心しているものの、兵に、世人に、更に外国人に....