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揺ぶる
「揺ぶる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揺ぶるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
約束が出来て居た間であるもの斯う問うは尤もである、余は心底から嬉しさの波が全身を
揺ぶる様に覚えたけれど、悲しや何の返事する事も出来ぬ、茲で嬉しい顔色を見せてすら....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ていやがる。未だ何か隠しているんだろう」 こう云って石子は腹立たしそうに支倉を
揺ぶるようにして厳重に懐中や袂を探り初めた。 「痛い、ひどい事をするなっ」 支....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
「私の顔が見えるの?」 「見えるとも、そら笑ってらあ。やあい」 がたがたと箱を
揺ぶる。やがてもったいらしく身構えをして、 「はい、写しますよ」とこちらを見詰め....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
きもののように跳ね起きて、ぶるンぶるンと上下左右に身ぶるいをした。――拍子に幹を
揺ぶるのである。参差《しんし》した枝々には時ならぬざわめきが起った。それらの枝に....
「はるかな道」より 著者:宮本百合子
かかわらず、「くれない」は、その真摯さと人間的な熱意の切なさとに於て、わたし達を
揺ぶる作品である。この作品に描かれているような波瀾と苦悩の性質について、そこから....
「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」より 著者:宮本百合子
に、フランス小唄のうまい、美食家の、「美しく煙草を吸い、奇智にとんで、男の知人を
揺ぶる」ことのやめられない貴族学校出のオリガとの生活は、彼を歩いて来た道から脱す....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
と春雨にならぬ間を、毎日のように風が続いた。北も南も吹荒んで、戸障子を煽つ、柱を
揺ぶる、屋根を鳴らす、物干棹を刎飛ばす――荒磯や、奥山家、都会離れた国々では、も....
「一粒の粟」より 著者:宮本百合子
水浴をする黒坊 水浴をする黒坊。 八月の日は光り漣は陽気な忍び笑いに肩を
揺ぶる――青|天鵞絨《ビロード》の山並に丸く包まれた湖は、彼等の水槽。 チラチ....
「私の覚え書」より 著者:宮本百合子
おや地震か、と思う間もなく、震動は急に力を増し、地面の下から衝きあげてはぐいぐい
揺ぶるように、建物を軋ませて募って来る。 これは大きい、と思うと私は反射的に机....
「露肆」より 著者:泉鏡花
の天窓を撫でるかと思うと、次へ飛んで、あの涅槃に入ったような、風除葛籠をぐらぐら
揺ぶる。 八 その時きゃっきゃっと高笑、靴をぱかぱかと傍へ外れて....
「白い壁」より 著者:本庄陸男
は意地悪るばばあだったのかい」と一気に叫びつづけ、「ようよう、よう」とその腰骨を
揺ぶるのであった。とたんに杉本は一足身体を退き子供のまじめくさった質問を避けよう....
「オランウータン」より 著者:豊島与志雄
、祈るべき言葉も、呪うべき言葉さえも持たなかった。鉄格子につかまってそれを徒らに
揺ぶるだけで、何になろう。私の前には、濁り淀んだ掘割りの水が、街路の灯を点々と映....
「山吹の花」より 著者:豊島与志雄
鬼の影がさしてくるからだったろうか。 なにか、暴風雨とか激しい雷鳴とか、天地を
揺ぶるようなものを、田宮は待ち望んだ。然し、穏かな日が続いた。 時とすると、空....
「墓」より 著者:秋田滋
いたいという思いだけが、一種名状しがたい、深い、云い知れぬ興奮で、わたくしの心を
揺ぶるのでした。自分の掌のなかに彼女の手を把り緊めていると、わたくしのこの胸には....
「果物の幻想」より 著者:小川未明
いのは、黄色かった。鬱陶しい、黒っぽい、あたりの景色が眼にうつりました。そして、
揺ぶるたびに、冷たい雫が、パタ/\と滴った。葉裏についている白い蛾が、ちょうど花....