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「揺らめく〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揺らめくの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
、入違いに、後をドーン。 扉の響きは、ぶるぶると、お妙の細い靴の尖に伝わって、揺らめく胸に、地図の大西洋の波が煽る。 四十九 「失敬、失敬。」 ....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
毛をテカテカと二つに分けて、贅沢なものらしい黒茶色の毛皮の外套を着て、その間から揺らめく白金色の逞ましい時計の鎖の前に、細長い、蒼白い、毛ムクジャラの指を揉み合....
旅愁」より 著者:横光利一
」 真紀子も表情を眼に籠め、傍の千鶴子に対って云った。しかし、その豪華な船室の揺らめく句は、東野と真紀子の航海の愉しいさまを髣髴させているばかりではなく、その....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
、鋸の歯を立てた鋸岳や、黒岳を引っ括めて、山一杯に緑の焔を吐く森林が、水中の藻の揺らめくように、濃淡の藍を低い雲に織り交ぜて、遠退くが如く近寄るが如く、浮かんで....
花園の思想」より 著者:横光利一
のかに妻の動かぬ表情に笑を与えた。またあの柔かな雛罌粟が壺にささって微風に赤々と揺らめくと、妻はかすかな歎声を洩して眺めていた。この四角な部屋に並べられた壺や寝....
街の底」より 著者:横光利一
に洗われた杭のように突き立って眺めていた。処女の波は彼の胸の前で二つに割れると、揺らめく花園のように駘蕩として流れていった。....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
るいは恐れさせつつ過ぎてゆく眩《めまぐる》しい旋風にすぎない。喧騒《けんそう》、揺らめく影、奇怪な形、苦悩、恐怖、哄笑《こうしょう》、夢、種々の夢……。――すべ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
風になぶられて、彼は宙に浮かびながらうとうととしている。寝そべった身体の下には、揺らめく小舟の下には、深い水が感ぜられる。手はひとりでに水に浸される。彼は起き上....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
蒼白《あおじろ》いぼんやりした明るみの中に、樅《もみ》の重い黒い枝が幽鬼のように揺らめくのが、窓の前に見えていた。そしてアントアネットの笑い声は、彼にとっては一....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
もたらす片すみの人なき広い野原、昼間の寂寞《せきばく》、夜間の犯罪、風に回ってる揺らめく風車、石坑の採掘車輪、墓地のすみの居酒屋、太陽の光を浴び蝶《ちょう》の群....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
のを待つばかりだった。そこには、緑葉と草と苔《こけ》と小鳥のため息とやさしい影と揺らめく枝とから成ってる一つの殿堂があり、温和と信仰と誠と希望と憧憬《どうけい》....
狂人日記」より 著者:秋田滋
た蟻を、その足跡として残して行くだけだ。小屋に住む黒人たちの国に行ってみよ。風に揺らめく褐色の天幕の下に寝起きする白色アラビア人の住む国へ行ってみよ。ひとりひと....
上海」より 著者:横光利一
ホールの白いテープの波の中を、よろけながら歩き出した。と、ふとどこかのカーテンが揺らめくと、鏡の中から青い微光が漣のように流れて来た。 「まア、甲谷さん、駄目だ....