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「揺り起す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揺り起すの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河明り」より 著者:岡本かの子
享け入れている私との間には、いわば、睦まじさが平凡な眠りに墜ちて行くのを、強いて揺り起すための清涼剤に使うものであったから、調子の弾むうちはなお二口三口、口争い....
野狐」より 著者:田中英光
、九時頃でもあろうか、アドルムを飲み、ぐっすり熟睡していた私を、姉がけたたましく揺り起す。枕元にはどうも見覚えのある老人が坐っている。いつも桂子の家に手伝いに来....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
らず、その踏台を訝《いぶか》りました。 「おい愚蔵《ぐぞう》、起きろ」 と言って揺り起すと、 「うーん」 と言って眼を醒《さ》ますと共に、 「あっ、失敗《しま》....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
、同じように起る。この声の行くところ、水と、石と、樹と、調子を合せて、谷間の客を揺り起す。間の岳(赤石山脈)の支峰だと晃平のいう蝙蝠岳は、西の空に聳えて、朝起き....
死人の手」より 著者:田中貢太郎
の足を撮みました。旅人はもう気を失いました。 「おい、おい、どうした」と云って、揺り起す者の声に、旅人は正気づいて眼を開けました。傍には下の村へ往った主人が、二....
少年の死」より 著者:豊島与志雄
彼は何も分らないでよく働いた。そしてよく眠った。毎朝金次郎の妻のおせいは彼を揺り起すのに眉を顰めた。 「どうしてこう寝坊だろうね、肥桶《こえたご》のくせに。....
子を奪う」より 著者:豊島与志雄
手をあててみた。そして声を立てた。彼も手をあててみた。額が焼けるように熱かった。揺り起すと、依子はぼんやり見廻したが、また大儀そうに眼瞼を閉じた。 病気に違い....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
を食べて、例の通り焚火の端に打倒れて一寝入りいたしますると、何者にや枕元に立って揺り起すものがあります。文治はがばと撥起き、 文「いや、其の方は何人じゃ、おゝ....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
《フラン》を余すとき、悩みに満ちた浅い眠りを続けているコン吉を遽然《きょぜん》と揺り起すものあり。目覚めて見れば、これはまたにわかに活況を呈し、頬の色さえ橙色《....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
八幡様だ。」と、縞の羽織で鳥打を冠ったのが、胴の間に円くなって寝ている黒の紋着を揺り起す。 一行三人の乗合で端に一人|仰向けになって舷に肱を懸けたのが調子低く....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
びや、心に生々と甦える岩の回想を語り合う。やがて激しい疲れにうとうとすると寒さが揺り起す。時たま暗い霧がうすれて月影がにじむ。 こうして一時間おき位に時計を出....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
杉隠居の諄々たる訓戒である。この烈しくて脆い女親の憂いと愛は、わが子にその本能を揺り起すと、とても宿屋へ帰るまで待っていられなかった。他人がいようといまいと気に....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
まりながら寝ている人がある。それが光悦だった。 あまり心地よげに寝ているので、揺り起すのも心なく思われたが、そっと顔を覗いているまに、光悦は自身から眼をさまし....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
影悄然と、よだれをたらして眠っていた。 「おい、助さん、風邪ひくよ」 わざと、揺り起すと、 「あ。城太か……」 助市は、眼をこすって、 「こんな遅くまで、御....