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「揺り返し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揺り返しの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河明り」より 著者:岡本かの子
云えばだんだん娘の性情の不平均、不自然なところも知れて来かかっていたし、そういう揺り返しが、たまたま起るということも、今更、不思議に思われなくなっていた。私は小....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
人たちのことを思ったりして、太陽の登るのを待ち明かした。 翌日は雪になったが、揺り返しはなかなかやまなかった。問屋、伏見屋の前には二組に分れた若者たちが動いた....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
のは、ひとり半蔵の父ばかりではなかった。あだかも過ぐる安政の大地震が一度や二度の揺り返しで済まなかったように、あの参覲交代制度の廃止を序幕として、一度大きく深い....
禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
、今の今まで見えていた人の寝姿を押し隠して、陰気に重々しく二三度ゴロッ、ゴロッと揺り返した。 そして、もうそれっきり動く様子は見えなかった。 六 恐ろしい冬....
私の覚え書」より 著者:宮本百合子
手を握りしめ、彼は、後の庭から空を見るようにしては、「大丈夫、大丈夫」を繰返す。揺り返しの間を見、私は、いそいで階子を降りた。居間のところへ来て見ると、丁度昼飯....
変な男」より 著者:豊島与志雄
た来るかも知れませんよ。」 「ええ、屹度来るわ。」と澄子は肩をそばめて見せた。「揺り返しは初めのよりひどいと云うから、此度は大変よ。そしたら私、今井さんを負《お....
日記」より 著者:宮本百合子
二人の子供が膝に突ぷし「母様、地球の終りじゃあないの、終りじゃあないの」と、強い揺り返しが来る度に云ったとき「其那ことがあるもんですか、大丈夫! 大丈夫!」と心....
食堂」より 著者:島崎藤村
は打ち消すように言って、お富と顔を見合せた。過ぐる東京での震災の日には、打ち続く揺り返し揺り返しで、その度に互いに眼の色を変えたことが、言わず語らずの間に二人....
上海」より 著者:横光利一
た。焔を受けて煌めく耳環の群団が、腹を返して沸き上る魚のように沸騰した。と、再び揺り返しが、彼の周囲へ襲って来た。彼は突然、急激な振幅を身に感じた。面前の渦の一....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ておられたな。――使いの世話には及ばんことだ。わしは昨夜の血の手も洗わず、いずれ揺り返しがある筈と、卑怯者の後を慕って、この平河天神へ来て夜明けを待ちあぐねてお....