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「揺曳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揺曳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
い睫毛《まつげ》の後《うしろ》に、彼の経験を超越した、得体の知れない一種の感情が揺曳《ようえい》しているような心もちがした。が、そう思う暇《ひま》もなく、女はま....
映画雑感(Ⅲ)」より 著者:寺田寅彦
ないか。実在の人間に不可能で、しかも人間の可能性の延長であり人間の欲望の夢の中に揺曳するような影像を如実に写し出すというのも一つの芸術ではあるが、そうした漫画は....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
BUMP! すでに高度は千|米以上。百|米の速力。これから千乃至五千の高さを揺曳して飛ぶ。一分間に汽車の窓から見る視野の二十倍が一秒のあいだに私たちのまえ―....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
らとして残光を海ぜんたいに反映する空の下を、コング・ホウコン号の吐く煙りがながく揺曳して、水を裂いたあとが一本、雪道のようにはるかに光っている。 そして、島。....
死者の書」より 著者:折口信夫
朱に、青に、昼より著く見え、自ら光りを発して居た。 庭の砂の上にすれすれに、雲は揺曳して、そこにありありと半身を顕した尊者の姿が、手にとる様に見えた。匂いやかな....
学生と教養」より 著者:倉田百三
、主観的制約を脱せしめようと努め、また学的には充分な生の芸術的感覚の背景が行間に揺曳して、油気のない道学者の感がないからである。 初学者はこの書によって入門し....
取舵」より 著者:泉鏡花
一帯の連山中に崛起せる、御神楽嶽飯豊山の腰を十重二十重に※れる灰汁のごとき靄は、揺曳して巓に騰り、見る見る天上に蔓りて、怪物などの今や時を得んずるにはあらざるか....
歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
、時としては、故知らぬ浮れ心をさえ誘う雲気の様なものに譬える事も出来る。そうした揺曳に気のつく事も、批評家でなくては出来ぬ事が多い。更にその雲気が胸を圧えるのは....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
振り込んで下流へ流してくる途中、山女魚が餌をくわえれば、水鳥の白羽の目印が微かに揺曳する。そこで、すかさず鈎合わせをすれば魚の口にガッチリと掛かる。引く、引く、....
香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
季節が早い。これらの川で探る鮎の餌釣りは暖国四国の餌釣りと共に、微妙な感覚を糸の揺曳に見る。 六 伊豆の狩野川の漁師の、友釣り技術は軽妙入神の趣がある。....
」より 著者:佐藤垢石
稲藪郡平田の新利根川へ寒鮒釣りに伴ったが、それでも海釣りよりも淡水で、糸と浮木の揺曳をながめる方が楽しめるという。 海は、伜の性に合わぬのかも知れない。 日....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
。賑やかに入って来た客は印度婦人服独特の優雅で繚乱な衣裳を頭から被り、裳裾を長く揺曳した一団の印度婦人だった。 始めその婦人達は先客としての日本の男女を紹介さ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
自然なる冬|構。朝虹の色寒かりしより以来、狂いと、乱れと咲きかさなり、黄白の輪|揺曳して、小路の空は菊の薄雲。 ただそれよりもしおらしいのは、お夏が宿の庭に咲....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
思いあまる詠歎は影をひそめ、なにか優雅なきぬずれの音を思い、洗煉をかさねた気品の揺曳に身をつつむ宮廷の女性を思うのである。 三島江の枯れ蘆の葉には薄霜のほの白....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
岳の波頭が白く突立つ。遥に離れて尨大な朝日岳から蒼い穏かな線のうねりが遠く天際に揺曳して、無辺際に拡がり行く巨鐘の音波のような余韻を偲ばせている。 それのみで....