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「揺籃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

揺籃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
である。自分はよく、なんの用もないのに、この渡し船に乗った。水の動くのにつれて、揺籃《ゆりかご》のように軽く体をゆすられるここちよさ。ことに時刻がおそければおそ....
二つの道」より 著者:有島武郎
るし、さらにある者は一つの道の分かれ目に立って、凝然として行く手を見守っている。揺籃《ようらん》の前で道は二つに分かれ、それが松葉つなぎのように入れ違って、しま....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
傷で身動きも出来なくなっていた。 「本望だろう。ケティは、遠い遠いむかしの、血の揺籃《ようらん》のなかへ帰った。ケルミッシュは、現実をのがれて夢想の理想郷へいっ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
家族の中に、門外不出の弦楽四重奏団を形成している四人の異国人がいて、その人達が、揺籃の頃から四十年もの永い間、館から外へは一歩も出ずにいると云ったら……、そうい....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
緻密なる細部の雕刻までを鮮明に現わして殆んど実物を髣髴せしめた。後者は印度文明の揺籃地に関する最新の発見報告であって、其発堀せる遺物の精巧なる写真数十葉は何れも....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
時の貧乏なる読書生は皆此の「大家論集」の恩恵を感謝したであろう。 博文館が此の揺籃地たる本郷弓町を離れて日本橋の本町――今の場所では無い、日本銀行の筋向うであ....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
からびたように見える、その附近の黒い森林は、一寸位ずつ這い上って来るようで、雲の揺籃のように、水球をすさまじい勢いで吐き出す。 西に向いて、また一峰を超え、や....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
らしめねばならない。 思えば今を距る二千六百年の昔、「わが」哲学がミレートスの揺籃を出でてから、浮世の嵐は常にこの尊き学問につれなかった。しこうして今日もまた....
」より 著者:金子ふみ子
ールの空函が五つ六つ横倒しに並べられていた。それが子供たちの机だった。私のペンの揺籃だった。 おっ師匠さん――子供たちはそう呼ばされていた――は女で、四十五、....
火葬国風景」より 著者:海野十三
かと思えば、ドーンと奈落へ墜ちる。その激しい上下も、いまとなっては、彼を睡らせる揺籃として役立つばかりだった。 十時間――ではあるまい、恐らく数十時間後であろ....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ったりするのが不思議な、好奇を感じさせた。自然への私の詩情はこの西城川の川遊びが揺籃だったらしい。水着も手拭もなく、真裸で、帯でふくのだ。鼻の尖きが光るので砂を....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
が、河東節には閉口したらしく、なるほど親類だけに二段聴きだ、アンナものは三味線の揺籃時代の産物だといって根っから感服しなかった。河東節の批評はほぼ同感であったが....
涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
ならなかった。そうしてその真ん中の小さな岩小屋は自分たちのような山の赤ん坊の寝る揺籃みたいにおもえてしようがなかった。言い方が可笑しいかも知れないが、それほどい....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
聞なさい。わたしは何千年と云う間 この靭いお料理を噬んでいるから、知っています。揺籃から棺桶までの道中に、 この先祖伝来の饅頭種をこなす奴はありませんよ。 わた....
ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
た。 私が希望せざるに知らされた事実は、私はK市の生れでないこと、他国で生まれ揺籃のままK市に移されたこと、「ソーベ」と呼ぶ十一違いの異母兄があること、彼の母....