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損得
「損得〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
損得の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
は平吉が自分で時々、そう思うのである。しかし、こう云ったからと云って、何も平吉が
損得の勘定ずくで嘘をついていると云う訳では毛頭《もうとう》ない。第一彼は、ほとん....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
た。十代のように照れていた。しかし、十代とちがうところは、照れている状態の効果の
損得を、損も得も心得ているという二十代の狡さだ。 そして、春隆はその二十の最後....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
すすっている。 「こうしているのをいま少しすぎにみな撲殺してしまうのかと思うと、
損得に関係なく涙が出る」 主人はいまさら胸のつかえたように打ち語るのであった。....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
りましたが」と、又別な参謀が口を切った。「米国の太平洋沿岸で暴れた帝国潜水艦隊の
損得比較は、どういうことになりましょうか」 「これはやや出来がよかった」別府将軍....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
くして殺された以上、どうしても相手を安穏に捨てて置くことは出来ません。この場合、
損得などはどうでもいいのです。たとい親子が乞食になっても構いませんから、あの男を....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
ちに鞄は往来へ飛び出し、彼の眼界から失せた。そこで彼の心の中に怫然《ふつぜん》と
損得観念が勝利を占め、彼はゴム靴の海を一またぎで躍り越えて往来へ飛び出した。その....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
て応仁の馬鹿戦が起ったかナ。ハハハハ。」 「イヤ、そればかりでもござりますまい。
損得勘定が大きな分け隔てを致しましたろう。」 「其の
損得という奴が何時も人間を引....
「光は影を」より 著者:岸田国士
た。月給八千五百円、袋のまゝ母に預けて、いるだけ貰うというやり方にしてみた。別に
損得を計算しての上ではないが、やつてみると、母はそれがうれしそうである。 工場....
「選挙漫談」より 著者:黒島伝治
士山よりも高く雲の上の上にそびえていて、浜口がどうしようが、こうしようが、三文の
損得にもならないことを、熱心に喋って得々としている。そういう男は選挙に際して、嬶....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
然ういう甚だ元始的の方法で有った。 「この渡しを越すと越さぬとでは、道程に大変な
損得が有るそうな」と竜次郎は云った。 「生憎、船は向河岸に着いていますが、縄さえ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
す。これは武石弘三郎氏の力作で、博文館で文界十傑を募集した時当選したのに対して、
損得を離れて製作せられたものでした。長く処を得なかった胸像もよく掃除せられ、黒|....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
はありませんか。そうしたら、九頭竜の野郎、それは耳よりなお話ですから、私もひとつ
損得を捨てて乗らないものでもありませんが、それほど先生がたがおほめになるもんなら....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
居候の三日半の食扶持《くいぶち》で、おれくらいの学者が一月飼っておけるとなりゃア
損得ずくから考えても、損にゃなるまい。それでも、置いてさえくれりゃア、こっちは大....
「影」より 著者:岡本綺堂
の損にもなるじゃあねえか。そのくらいの理屈が判らねえのか。 おつや あら、忌だ。
損得なんぞを考えて、主人と喧嘩が出来るかって云うんだ。はははははは。(笑いながら....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
て不思議なことには斯ういう羽目になるにつれ、国太郎の大ふうは、ますます増長して、
損得の算盤からは遠ざかって行った。 それは痩我慢とも捨て鉢とも思えるものだった....