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搦み
「搦み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
搦みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ンその悲鳴の発した方角へ引擦ってゆくのだった。 町角を曲ると、果して僕は地上に
搦みあっている怪しい人影を見つけた。 「ああ、何です、何です。何うしたんです……....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
その間、気味のわるいほど一語も発しなかった。ときどき彼女の柔軟な二の腕が僕の腰に
搦みついたり、そうかと思うと熱い呼吸が僕の頬にかかったりした。 「さあ、こんどは....
「階段」より 著者:海野十三
を持っていた。その白い脛が階段の一つをのぼる度毎に、緋色の長い蹴出しが、遣瀬なく
搦みつくのであった。歌麿からずっと後になって江戸浮世絵の最も官能的描写に成功した....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
カチリと引かれた。 「ズドーン!」 銃声一発――大尉と学士とは、壁際から同体に
搦みあったまま、ズルズルと音をさせて、横に仆れた。 ピストルの煙が、やっと薄ら....
「赤外線男」より 著者:海野十三
」と帆村が云った。 なるほど、力の強い刑事が引張っても抜けなかった。鍼に筋肉が
搦みついてしまったものらしい。 「一体これは、どうして検べようか」判事が当惑の色....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
、花片がまたもや散り来る――二片三片、虚空から。―― 「左右へ傾く舷へ、流が蒼く
搦み着いて、真白に颯と翻ると、乗った親仁も馴れたもので、小児を担いだまま仁王立。....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
りの藤の花と、つつじと一所に、お庭の池に影の映りましたのが、薄紫の頭で、胸に炎の
搦みました、真紅なつつじの羽の交った、その虹の尾を曳きました大きな鳥が、お二階を....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
で切り込んでゆく。 すると、その死闘の場より、ものの半町ほども距たらぬ軒端に、
搦みあった別の二つの人影があった。 「もし、半之丞さまでは御座りませぬか。――あ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
色は、膚薄な胸を透かして、動悸が筋に映るよう、あわれ、博多の柳の姿に、土蜘蛛一つ
搦みついたように凄く見える。 「誰や!」 と、不意に吃驚したような女房の声、う....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
一挺、もう一本、だんだんと火を移すと、幾筋も、幾筋も、ひょろひょろと燃えるのが、
搦み合って、空へ立つ、と火尖が伸びる……こうなると可恐しい、長い髪の毛の真赤なの....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、早く、その墓を包んだ。 向う傾けに草へ倒して、ぐるぐる巻というよりは、がんじ
搦みに、ひしと荒縄の汚いのを、無残にも。 「初路さんを、――初路さんを。」 こ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
あるでございますよ。」 六 「昨年のことで、妙にまたいとこはとこが
搦みますが、これから新宿の汽車や大久保、板橋を越しまして、赤羽へ参ります、赤羽の....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
乱れて)――身体が宙に浮くのであった。 「ああ!」 船の我身は幻で、杭に黒髪の
搦みながら、溺れていたのが自分であろうか。 また恐しい嫗の手に、怪しい針に釣り....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
溜るのか、水が殖えたか、投出してる足許へ、縮めて見ても流が出来て、ちょろちょろと
搦みつくと、袖が板のように重くなって、塵塚に、ばしゃばしゃと沫が掛る、雫が落ちる....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
めたように、起上って、取乱した態もそのまま、婦同士、お綾の膝に乗掛って、頸に手を
搦みながら、切ない息の下で、 (済まないわね。) と言うのが、ほとんど例になっ....