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「搦む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

搦むの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雛がたり」より 著者:泉鏡花
、おさえの端の石がころころと動くと、柔かい風に毛氈を捲いて、ひらひらと柳の下枝に搦む。 私は愕然として火を思った。 何処ともなしに、キリリキリリと、軋る轅の....
空中漂流一週間」より 著者:海野十三
コフ!」 とよんだ。 「……」 キンチャコフの腕が、六条の腕の方につつーっと搦むように近よってきたが、固形ウィスキーは、ぽとんと二人の間に落ちたままになって....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
姿を抜いて、格子を開けた門口で、しっかり掴まる。吹きつけて揉む風で、颯と紅い褄が搦むように、私に縋ったのが、結綿の、その娘です。 背中を揉んでた、薄茶を出した....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
と見たは、崩れた壁に、ずたずたの襁褓のみ、猿曵が猿に着せるのであろう。 生命の搦む桟橋から、危く傾いた二階の廊下に、日も見ず、背後むきに鼠の布子の背を曲げた首....
南地心中」より 著者:泉鏡花
た。が、朱鷺色衣に裏白きは、神の前なる薄紅梅、涙に濡らすは勿体ない。緋縮緬を手に搦む、襦袢は席の乱れとて、強いて堪えた頬の靨に、前髪の艶しとしとと。 お珊は眦....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
黙ってしばらくして、 「さあ。」 手を中へ差入れた、紙包を密と取って、その指が搦む、手と手を二人。 隔の襖は裏表、両方の肩で圧されて、すらすらと三寸ばかり、....
露肆」より 著者:泉鏡花
上気して乾くらしい唇に、吹矢の筒を、ちょいと含んで、片手で持添えた雪のような肱を搦む、唐縮緬の筒袖のへりを取った、継合わせもののその、緋鹿子の媚かしさ。 ....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
出損った顔をしたが、半間に手を留めて、腸のごとく手拭を手繰り出して、蝦蟇口の紐に搦むので、よじって俯むけに額を拭いた。 意味は推するに難くない。 欣七郎は、....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
覗く風情して、瞳を斜めに衝と流しながら、華奢な掌を軽く頬に当てると、紅がひらりと搦む、腕の雪を払う音、さらさらと衣摺れして、 「真個は、寝ていましたの……」 「....
雪柳」より 著者:泉鏡花
かった水浅黄の蹴出しが見える、緋鹿子で年が少いと――お七の処、磴が急で、ちらりと搦むのが、目につくと、踵をくびった白足袋で、庭下駄を穿いていました。」 ――筆....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
上げた巨大なる殿堂の壁が猛火に焼け残った儘突立っているようだ。登ることは勿論横に搦むことも絶対に不可能であると事が極れば、反て恐ろしくも何ともない。安心して見て....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
ていると思った。 本流の左岸は絶壁が続いて、其上は樹木の茂った急崖である。横を搦むのは非常に困難らしい。平蔵が体に綱を結び付けて、其上から跳び込んだという俄造....