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摺
「摺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
摺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂女」より 著者:秋田滋
立って堪らないのだったが、そうかと云って、部下の兵士に命じてこの女を寝台から引き
摺りおろすわけにも行きかねたので、いささか持余したかたちだったが、やがて、彼は出....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
り、女から愛されたり、群衆から喝采を浴びせられたりする。彼等は人殺しの道具を引き
摺って街を歩く。黒い服を身に着けた通行者は、羨ましそうにそれを眺める。それは、殺....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
明けようとしました。が、戸は容易に破れません。いくら押しても、叩いても、手の皮が
摺り剥けるばかりです。 六 その内に部屋の中からは、誰かのわっと叫ぶ....
「影」より 著者:芥川竜之介
陳は受話器を元の位置に戻すと、なぜか顔を曇らせながら、肥った指に燐寸《マッチ》を
摺《す》って、啣えていた葉巻を吸い始めた。
……煙草の煙、草花の※《におい》、....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
て、僕を招待《しょうだい》してくれた事がある。何しろYの事だから、床の間には石版
摺《せきばんず》りの乃木《のぎ》大将の掛物がかかっていて、その前に造花《ぞうか》....
「死後」より 著者:芥川竜之介
りはそのために乾皮《ひぞ》った竹の皮だらけだった。しかし膝の上にのせた鎧はまだ草
摺《くさず》りが一枚と胴としか出来上っていなかった。
「子供は?」と僕は坐るなり....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
さまざまの貝殻を照らし出していた。O君はその火が消えてしまうと、又新たにマッチを
摺《す》り、そろそろ浪打ち際を歩いて行った。
「やあ、気味が悪いなあ。土左衛門の....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
かりの金箔《きんぱく》を押した歩衝《ついたて》である。Kの説によると、これを「手
摺《てす》り」と称するので、いつでも取壊せるように出来ていると云う。その左右へは....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
がストオヴの口からさす赤い火の光を斜《ななめ》に浴びて、上衣《うわぎ》の肩や腰の
摺《す》り切れた所が、一層鮮に浮んで見える。と思うと先生の禿げ頭も、下げる度に見....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ぶ。下駄の鼻緒《はなお》が切れる。その上俯向きに前へ倒れて、膝頭《ひざがしら》を
摺剥《すりむ》くと云う騒ぎです。いや、もう少し起き上るのが遅かったら、砂煙を立て....
「或る女」より 著者:有島武郎
と思った所に寝ていた自分を見いだした。その夕方、同じ旅籠屋《はたごや》の二階の手
摺《てすり》から少し荒れたような庭を何の気なしにじっと見入っていると、急に昨夜の....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
コマ」といって雁木の代りにビードロの粉を松やにで糸へつけて、それで相手の凧の糸を
摺り切るのである。「うなり」は鯨を第一とし、次ぎは籐であるが、その音がさすがに違....
「雪の女王」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
へ行きました。その上には、百ぱよりも、もっとたくさんのはとが、ねむったように、木
摺や、とまり木にとまっていましたが、ふたりの女の子がきたときには、ちょっとこちら....
「猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
の三匹を置いて、赤い紐と、白い紐と、青の紐と此三種の異なりたる紐を出し、少しく引
摺って見た、然るに其結果は何れも赤紐に来たのである、更に此通りにして第二回の調査....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ながら何ともいえぬ異変な声でございます。と泰助と顔を見合せ、亭主は膝下までひたと
摺寄り、「ええそれが私は襟許から、氷を浴びたような気が致して、釘附にされたように....