摺る[語句情報] »
摺る
「摺る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
摺るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
。といってエミリーの片恋を知った以上、そのままに放っておけない。彼は進まぬ足を引
摺るようにして、エミリーを慰めに現われるのだった。 そのドレゴが、或る日いつも....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
だけ取って手を通すと、桁短に腕が出て着心の変な事は、引上げても、引上げても、裾が
摺るのを、引縮めて部屋へ戻ると……道理こそ婦物。中形模様の媚かしいのに、藍の香が....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
悪い、高慢なねえ、その癖しょなしょなして、どうでしょう、可恐い裾長で、……地へ引
摺るんでございましょうよ。 裾端折を、ぐるりと揚げて、ちょいと帯の処へ挟んだん....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
うた、その結果、一人の探偵が、伯爵のわび住居に現われた。猫背で、長いオーバーを引
摺るように着、赭顔に大きな黒眼鏡をかけた肥満漢であった。姓名は、そのさしだした名....
「大脳手術」より 著者:海野十三
私はこの夜店の委員会の認可を受けた上で、黒の中折帽子に同じく黒い長マントを引
摺るように着て、凩の吹く坂道の、小便横町の小暗き角に、お定まりの古風な提灯を持っ....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
僕は魚戸の腕を抱えて、ゆすぶった。 「あれを見ろ」と魚戸は僕の身体を前方へ引
摺るようにして、斜め上方を指し「探照灯は本艇が出しているのだが、あの青白い光の中....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
自分は退いて、 「いざまず……これへ。」と口も気もともに軽い、が、起居が石臼を引
摺るように、どしどしする。――ああ、無理はない、脚気がある。夜あかしはしても、朝....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
いま教授がのせたなりに、ただ袖に手を掛けたばかり、長い外套の裾をずるずると地に曳
摺るのを、そのままで、不思議に、しょんぼりと帰って行くのを見て、おしげなくほろり....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
思うが、すばらしい中年増だ。」 手を洗って、ガタン、トンと、土間穿の庭下駄を引
摺る時、閉めて出た障子が廊下からすッと開いたので、客はもう一度ハッとした。 と....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
たげな。 きゃっ!と云うと刎返って、道ならものの小半町、膝と踵で、抜いた腰を引
摺るように、その癖、怪飛んで遁げて来る。 爺どのは爺どので、息を詰めた汗の処へ....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
及したりしなり。呼吸を殺して従い行くに、阿房はさりとも知らざる状にて、殆ど足を曳
摺る如く杖に縋りて歩行み行けり。 人里を出離れつ。北の方角に進むことおよそ二町....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、おい。」とただ忙る。 「はい、」と潤んだ含声の優しいのが聞えると、※と摺附木を
摺る。小さな松火は真暗な中に、火鉢の前に、壁の隅に、手拭の懸った下に、中腰で洋燈....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
出られぬのである。 もっとも時|経ったか、竹も古びて、縄も中弛みがして、草に引
摺る。跨いで越すに、足を挙ぐるまでもなかったけれども、路に着けた封印は、そう無雑....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
も破られもしないが、背中の疼痛が容易でない。 もっとも怪我をした当夜は、足を引
摺るようにして密と紋床へ這戻り、お懶惰さんの親方が、内を明けて居ないのを勿怪の幸....
「青い風呂敷包」より 著者:大倉燁子
ょう?」 「いけない、いけない。こっちは急ぐんだから」 躊躇している彼女を引き
摺るようにして連れて行った。美佐子はそれを見ていながら、引きとめることが出来なか....