撓う[語句情報] » 撓う

「撓う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

撓うの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜の若葉」より 著者:宮本百合子
助の声の優しい重さに撓《しな》うばかりである。けれども、そのように瑞々しく撓えば撓うほど、桃子の肉体の内に一つの叫びが高まるのをどう説明したらいいだろう。 桃....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
今じゃあ痛くもなんともないが、打たれた時にあ痛かったよ。だって布袋竹の釣竿のよく撓う奴でもってピューッと一ツやられたのだもの。一昨々日のことだったがね、生の魚が....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ょい眉を顰めた。抜いて持った釵、鬢摺れに髪に返そうとすると、や、するごとに、手の撓うにさえ、得も言われない、異な、変な、悪臭い、堪らない、臭気がしたのであるから....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
まに、頸の手拭が真額でピンと反ると、棒をハタと投げ、ずかと諸手を墓にかけた。袖の撓うを胸へ取った、前抱きにぬっと立ち、腰を張って土手を下りた。この方が掛り勝手が....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い姿が、褄さきが冷いように、畳をしとしと運ぶのが見えて、縁の敷居際で、すんなりと撓うばかり、浮腰の膝をついた。 同時に南瓜の葉が一面に波を打って、真黄色な鴎が....
雨と子供」より 著者:宮本百合子
になった。きつい雨で、見ていると大事な空地の花壇の青紫蘇がぴしぴし雨脚に打たれて撓う。そればかりか、力ある波紋を描きつつはけ道のない雨水が遂にその空地全体を池の....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
だと考証しているが、必ずしもそう一徹に極めずに味うことの出来る語である。萩の枝が撓うばかりに露の置いた趣で、そう具体的に眼前のことを云って置いて、そして、「寒く....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
うもスフになるらしくてありませんとのことです。それからみそこしね、あのわくはよく撓う木ですが、それもなくなって来ていますって。案外のものがなくなりまして、どうも....
雪柳」より 著者:泉鏡花
なります―― とじゃに。」 ただ引伏せた練絹に似た、死んだようなお冬の姿が、撓うばかりに揺れたのであります。 「私も、わけをきいて、う、五寸の焼釘を、ここの....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
あのすざましい噴火の焔、あれを見て誰が意志の無いものと思えようぞ。このごうごうと撓う大地、誰が無生物と思えようぞ。それは取りも直さず人間の延長なのだ。人間こそ彼....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
うに、土匪の群れは、さっと分れたが、もう槍の自由な広さである。武蔵は樫の黒い柄が撓うほど、それを振っていた、また突いてはねとばした、また上から撲りつけた。 敵....
私本太平記」より 著者:吉川英治
阿新丸の小さい影が、大竹やぶの竹の一つへ、凄い勢いで、よじのぼっていた。 竹が撓う。 竹にとまった雀のように、阿新の体は、濠の上で、ぶら下がった。 濠とは....