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撓める
「撓める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
撓めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ていたが、宗吉が顔を出したのを、茶色のちょんぼり髯を生した小白い横顔で、じろりと
撓めると、 「上りは停電……下りは故障です。」 と、人の顔さえ見れば、返事はこ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
なったので。」 自動車が警笛を。 主人は眉の根に、わざと深く皺を寄せて、鼻で
撓めるように顔を向けた。 「はてね。」 「いや、とけておちたには違いはありません....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
。――それそれ、この見当じゃ。」 と、引立てるように、片手で杖を上げて、釣竿を
撓めるがごとく松の梢をさした。 「じゃがの。」 と頭を緩く横に掉って、 「それ....
「科学論」より 著者:戸坂潤
実在の認識をば社会的与件に従って、歴史的伝統に沿うて、又階級的利害に左右されて、
撓めるだろう(撓めずに却って矯める場合もあるが)。だが少なくとも科学的世界の内容....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
塩梅。 それ、躓くまい、見当を狂わすなと、俯向きざまに、面をぱくぱく、鼻の穴で
撓める様子が、クン、クンと嗅いで、 (やあ人臭いぞ。) と吐きそうな。これがさ....
「キド効果」より 著者:海野十三
た。どうしても真犯人を見出して処刑し、永年の癌であった彼等一味の、のさばり加減を
撓める必要があった。 ところで犯跡を調べるということになると係官はハタと当惑し....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
でさえ、この子を余り好かなかったのは、そういう所に原因していたらしい。その性質を
撓めるために、無二斎がたびたび加えた武士的な折檻は、かえって、豹の子に牙をつけて....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
懐が、なつかしい思い出として語られるし、幸村も、 「あの頃はよく、暴れ者が、角を
撓めるために、愚堂和尚の室にあつまりましたなあ。和尚もまた、諸侯と牢人、長者と若....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
やれ」 「合点です!」意気込んだ宅助、三角|洲を右に見て、腕ッ限りグングンと櫓を
撓める。 この一伍一什を、源内の所から帰りがけに、ふと見かけてつけて来たのは、....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
木の一番端の地に附くような低い枝の中ほどに巣を掛けている。僅かばかりその枝を引き
撓めると、地上に立っていても巣の中を見ることが出来た。巣の底には例の楊の綿を厚く....