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「撞く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

撞くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、その半鐘の音がそれからそれへと警報を伝えて、隣り町《ちょう》でもあわてて半鐘を撞く。火消しはあてもなしに駈けあつまる。それは湯屋の煙りすらも絶えている真夜中の....
朱日記」より 著者:泉鏡花
湯に入って、寝たが、綿のように疲れていながら、何か、それでも寝苦くって時々早鐘を撞くような音が聞えて、吃驚して目が覚める、と寝汗でぐっちょり、それも半分は夢心地....
雛妓」より 著者:岡本かの子
て、また鼻つまりの声で友達とピカソでも論じてるのだろう」 弁天堂の梵鐘が六時を撞く間、音があまりに近いのでわたくしは両手で耳を塞いでいた。 ここは不忍の池の....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
海が幾日も暴れて、山中の食料がつきた場合には、対岸の牡鹿半島にむかって合図の鐘を撞くと、半島の南端、鮎川村の忠実なる漁民は、いかなる暴風雨の日でも約二十八丁の山....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ことは出来ません。 早く夜が明けてくれればいいと祈っていると、浅草の鐘が二時を撞く。その途端に離れの方では、何かどたばたいうような音がまた聞えたので、わたくし....
修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
第三場 もとの夜叉王の住家。夜叉王は門にたちて望む。修禅寺にて早鐘を撞く音きこゆ。 (向うより楓は走り出づ。) かえで 父様。夜討ちじゃ。 夜叉王 ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、鉄の縄で足をくくられていました。獄卒が往ったり来たりして、棒であなたの腋の下を撞くと、血がだらだらと流れました。わたくしは帰る時に、あの和尚さまはなんの罪で呵....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
へ出ていらっしゃるものではありません。早くお机の所へおいでなさいまし。 晃 鐘を撞く旦那はおかしい。実は権助と名を替えて、早速お飯にありつきたい。何とも可恐く腹....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
という動物にて、うわさせし人の影なりける。 良夫と誤り、良夫と見て、胸は早鐘を撞くごとき、お貞はその良人ならざるに腹立ちけむ、面を赤め、瞳を据えて、屹とその面....
わかれ」より 著者:国木田独歩
とその風情をことにせり。町の西端に寺ありてゆうべゆうべの鐘はここより響けど、鐘|撞く男は六十を幾つか越えし翁なれば力足らず絶えだえの音は町の一端より一端へと、お....
日置流系図」より 著者:国枝史郎
気は防ぐことが出来る。 この間も夜は更けて行った。と鳴り出した鐘の音。回向院で撞く鐘でもあろうか。陰々として物寂しい。 とたんに「ヒェーッ」と帛を裂くような....
京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
観衆の、じっとこらしている息の中を、長唄が、 ※鐘に恨は数々ござる、初夜の鐘を撞く時は、諸行無常と響くなり……。 と、重々しく、初まったのでございました。と....
春の修善寺」より 著者:岡本綺堂
えるものは桂川の水の音と修禅寺の鐘の声ばかりである。修禅寺の鐘は一日に四、五回|撞く。時刻をしらせるのではない、寺の勤行の知せらしい。ほかの時はわたしも一々記憶....
活人形」より 著者:泉鏡花
照射入る月影に、お藤の顔は蒼うなり、人形の形は朦朧と、煙のごとく仄見えつ。霊山に撞く寺の鐘、丑満時を報げ来して、天地|寂然として、室内陰々たり。 かかりし時、....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
込んでいる船長は嬉しい事だろう。 福がお前を待ち兼ねているだろう。 (沙原にて撞く鐘の声す。) ファウスト (耳を欹つ。) また咀われた鐘の音が....