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「撥ね〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

撥ねの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
神楽《かぐら》の音も聞えて来る。 かがり火は、薪木の性と見え、時折、ぷちぱちと撥ね、不平そうに火勢をよじりうねらすが、寂莫たる天地は何の攪《か》き乱さるる様子....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
へ出直すと台所の前あたり、井戸があって、撥釣瓶の、釣瓶が、虚空へ飛んで猿のように撥ねていた。傍に青芒が一叢生茂り、桔梗の早咲の花が二、三輪、ただ初々しく咲いたの....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
る敵機は冬陽を散らしけり 〃 の翼に冬陽散る 〃 の撥ねし冬陽哉 十二月二十八日 ◯きょう午後一時半ごろ、高射砲音轟く。外へ出てみ....
食魔」より 著者:岡本かの子
ィーヴの戻茎の群れは白磁の鉢の中に在って油の照りが行亙り、硝子越しの日ざしを鋭く撥ね上げた。 蔬菜の浅黄いろを眼に染ませるように香辛入りの酢が匂う。それは初冬....
雛妓」より 著者:岡本かの子
沫の如く奔騰して、そのみなかみの※々の音を忍ばせ、そこに大小三つほどの水玉模様が撥ねて、物憎さを感ぜしむるほど気の利いた図案である。 こうは見て来るものの、し....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
受けた時に、存外素直に承知した。しかし修繕の費用などは一銭も要らないと、きっぱり撥ね付けた。 それからひと月の後に路地は広くなった。お玉さんの家はそれだけ痩せ....
紅玉」より 著者:泉鏡花
ってな、いい図じゃないぜ、審査所のお玄関で頓首再拝と仕った奴を、紙鉄砲で、ポンと撥ねられて、ぎゃふんとまいった。それでさえ怒り得ないで、悄々と杖に縋って背負って....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
に庇って立った教授が、見ると、繻子の黒足袋の鼻緒ずれに破れた奴を、ばたばたと空に撥ねる、治兵衛坊主を真俯向けに、押伏せて、お光が赤蕪のような膝をはだけて、のしか....
売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
れない涙が眼の奥から浸潤み出るのだ。いつかもこういう事があった。 掛布団の端で撥ねられた寝床人形が床に落ちて俯向きになっていた。鼻を床につけて正直にうつ向きに....
黒百合」より 著者:泉鏡花
「しかり、あきらめて覚悟をせい。魚の中でも鯉となると、品格が可いでな、俎に乗ると撥ねんわい。声を立てて、助かろうと思うても埒明かんよ。我輩あえて憚らず、こうやっ....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
彼は言い知れぬ新しみと元気があった。蝋燭の火は元宵(正月)の晩のようにパチパチと撥ね迸ったが、彼の思想も火のように撥ね迸った。 「謀反? 面白いな……来たぞ来た....
狂人日記」より 著者:井上紅梅
がやればきっと出来ると思う。こないだ小作人が減租を要求した時、あなたが出来ないと撥ねつけたように」 最初彼はただ冷笑するのみであったが、まもなく眼が気味悪く光....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
す。 思の外、容易に近づくか知らと、喜ぶ時、船前五間許の処にて、がばがばと水を撥ねたるは、十貫目錨を投じたる程の水音にて、船は為めに揺られて上下せり。 これ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
扇の要口を庭の面の雪中へ突込むのであります。そして一つ一つ何やら円い扁たいものを撥ね上げて進みます。円い扁たいものが撥ね除けられた跡には、見るも潤って美しい踏石....
情鬼」より 著者:大倉燁子
るから、お骨には何の証拠もないし小田切さんの妹さんだって迷うわね」 「管理人に突撥ねられたから云うわけじゃございませんが、すりかえるなんてそんなこと、なかなか出....