»
撫
「撫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
撫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
りょばつう》は、ただでさえ長い顔を、一層長くしながら、疎《まばら》な髭《ひげ》を
撫でて、こう云った。彼の顔のまわりには、十人あまりの顔が、皆まん中に置いた燈火《....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
。いかがなものでございましょう。」
市兵衛は、こう言いながら、視線で彼の顔を「
撫《な》で廻した。」(これは馬琴が和泉屋のある眼つきを形容した語《ことば》である....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
てしまいました。
髪長彦は好《い》い事を聞いたと思いましたから、早速白犬の頭を
撫でて、
「嗅《か》げ。嗅げ。御姫様たちの御行方を嗅ぎ出せ。」と云いました。
....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
るために、五十|石《こく》の加増を命じた。兵衛は蚯蚓腫《みみずばれ》になった腕を
撫《な》でながら、悄々《すごすご》綱利の前を退いた。
それから三四日経ったある....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
云い出したのにゃ、随分手こずらされたものだったけ。」
お蓮《れん》は膝の小犬を
撫《な》でながら、仕方なさそうな微笑を洩らした。汽船や汽車の旅を続けるのに、犬を....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
にまみれて、人気のない川のふちに横《よこた》わりながら、川楊《かわやなぎ》の葉が
撫でている、高い蒼空《あおぞら》を見上げた覚えがある。その空は、彼が今まで見たど....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
いまさらのように慕わしく、思い出さずにはいられないのである。
この大川の水に
撫愛《ぶあい》される沿岸の町々は、皆自分にとって、忘れがたい、なつかしい町である....
「運」より 著者:芥川竜之介
わく》を知ってか知らないでか、膝《ひざ》で前へのり出しながら、見かけによらない猫
撫声《ねこなでごえ》で、初対面の挨拶《あいさつ》をするのでございます。
「こっち....
「墓」より 著者:秋田滋
と、厭なにおい、腐敗したものが発散する悪気がむうッとあがって来て、わたくしの顔を
撫でました。ああ、彼女の床には菖蒲の香りが馥郁と漂っていたのでありますが――。し....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
、もう髪は真ッ白になっている。おお、金色の髪の毛が縮れている若々しい額、やさしく
撫でる手、物云う眼、皷動する心臓、唇を約束する微笑、抱愛を約束する唇!――そして....
「初雪」より 著者:秋田滋
だった。彼女は毎晩、母親のように、優しく犬の世話をした。暇さえあれば、二匹の犬を
撫でてやった。そして、良人にたいしては、使おうなどとは思ってもみなかったような、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
事なりと、古人の作中、得意の詩や歌を誦するともなく謡うともなくうめきながら欄干を
撫でつつ歩むともなく彳むともなく立戻おり居るに、往来の人はいぶかしみ、しばしば見....
「寡婦」より 著者:秋田滋
立てさえいたしました。一人前の男にたいするように、媚を見せたり、水を向けたり、愛
撫をしたりしました。それにもかかわらず、私は不実だったのです。私はあの子を気狂の....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
んで、彼の武骨な恋の目的としていた。彼の愛のたわむれは、どう見ても熊がやさしく愛
撫するようなものだったが、ひそひそ声のうわさ話によれば、彼女はまんざら彼の望みを....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
云う可愛がり方。そして、車大工とその女房は、交わるがわるその一粒種を手にとって、
撫でたり擦ったりしていた。 その子供が五つになった時のことである。旅まわりの軽....