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撫す
「撫す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
撫すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
、稚市を抱き上げてきて、膝の上で逆さに吊し上げ、その足首に唇を当てがって、さも愛
撫するように舐《な》めはじめた。唾液がぬるぬると足首から滴り下《お》ち、それが、....
「苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
みじみ母親の愛を感じていた。…… 言葉を知らない女は、ただ笑って、俺を行為で愛
撫するより仕方がなかったのだろう。それが俺に更に、母親の慈愛を錯覚せしめた。俺は....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
を蓄えていた。が、彼女等は何といっても彼の精神的奴隷だった。ソロモンは彼女等を愛
撫する時でも、ひそかに彼女等を軽蔑していた。しかしシバの女王だけは時には反って彼....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
らあとへと、入りかわり立ちかわり押しかけては、時代逆行の珍現象を呈した。それを鎮
撫するのに、陸軍大臣に麻布第三連隊に総動員を命ずるという前代未聞の大騒ぎが起った....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
本一のように強い者に思って居たせいもあろうが、其の半面には文雅で学問が有って民を
撫する道を知っていたろう氏郷の施為《しい》が、木村父子や佐々成政などと違って武威....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
で、これは危険だからやめにした。 私がさように嫌う蜘蛛でさえ手にまるめ込んで愛
撫するかの如く爪くる人もあるからおかしい、もし蜘蛛の男女が恋をしたとしたらやはり....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
よ、翼を以て蔽うて守りくれよ、というのである。この歌の「はぐくむ」は翼で蔽うて愛
撫する意だが、転じて養育することとなった。史記周本紀に、「飛鳥其翼を以て之を覆薦....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
を露すらも悔みはしない。私はただニッコリし、彼をむかえ、彼の愛撫をもとめ、彼を愛
撫するために、二本の腕をさしだして、彼をまつ。私はその天然自然の媚態だけが全部で....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
だしい音も、ガイセンの音も、祝盃の音も、みんなきこえて、最後に殊勲の女を情夫が愛
撫する音まできこえ、首尾一貫、居ながらにして、現代劇を味っているようであった。そ....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
じゃあお前は縮尻ぜ」 源太夫は返辞をしなかった。 「叩かれると犬は従いて来る。
撫すると犬は喰らいつく。……」 源太夫は考え込んだが、突然飛び上り喚声をあげた....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
いろいろ想像を廻らして見た。毒矢を使う上からはこの島の土人に相違ない。しかし私を
撫すった時の嫋かな手付きを考えて見るに男のようには思われない。それでは土人の女だ....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
らず、自ら要求する術も知らず、むしろこれらの事柄は男子たる羽山が積極的に指導し愛
撫すべきことは争うべからざる公知の事実である。それにも拘らず原告は故意にそれらの....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
んで、彼の武骨な恋の目的としていた。彼の愛のたわむれは、どう見ても熊がやさしく愛
撫するようなものだったが、ひそひそ声のうわさ話によれば、彼女はまんざら彼の望みを....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
事にして、これを断行するには非常の勇気を要すると共に、人心を籠絡してその激昂を鎮
撫するに足るの口実なかるべからず。これすなわち勝氏が特に外交の危機云々を絶叫して....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
って調停する楫取役を勤めたのは池辺三山であって、三山は力を尽して二葉亭を百方|慰
撫するに努めた。が、二葉亭が自ら本領を任ずる国際または経済的方面の研究調査にはや....