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撫で下ろす
「撫で下ろす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
撫で下ろすの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
です。いや人間が梅の木につきまとうのかも知れません。路に迷った旅人が、ほっと胸を
撫で下ろすのも梅の香りです。それだけ梅の木は人間と密接で、人の世の古い歴史をひそ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
預かってありますから」 「あ、そうか、それはよかった」 米友はホッと安心の胸を
撫で下ろすのを、女は笑って、 「意気地のない人だねえ、女を見て、あんなに逃げなく....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たか」 「そんなことはいいやしませんよ」 「それで安心……」 金助は大仰に胸を
撫で下ろす真似をしながら、ソロソロと上り込みました。 この野郎も、おっちょこち....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
刀を引きました。 「おどかすなよ、ほんとうに」 丸山勇仙は、ホッと安心して胸を
撫で下ろす。刀を鞘《さや》に納めた仏頂寺、 「眼のあるのと、無いのとは、これだけ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
立戻って来て見ると、もう、あの東|亜細亜《アジア》特有の小動物はいない。 胸を
撫で下ろすと共に、紙屑買ののろま清次はカンテラをつけて、またも現場のせせり掘りを....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
(ああ、) と言って、胸の落着く処を、 (煩い人だよ。お帰り。) で、すっと
撫で下ろす。」―― 三十四 「すると、取憑いた男どもが、眉間尺のよ....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
三幕第四場が終るのである。緞帳の余映は、薄っすらと淡紅ばみ、列柱を上の蛇腹から、
撫で下ろすように染めて行くのだった。その幕間は二十分余りもあって、廊下は非常な混....
「ロウモン街の自殺ホテル」より 著者:牧逸馬
ましたよ」 全く、何ごともなく日が経って行って、女将セレスティンは、安堵の胸を
撫で下ろす。三、四時間おきに、マダムの心尽しの、何かしら変った食べ物や飲みものな....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
って来る。ほんの一瞬間にこれだけの事実を慥めて、独り取り残されなかった安心の胸を
撫で下ろす。 漸く雪堤の縁に辿り着いて前面を見渡すと、如何だろう、急直なること....
「八ヶ峰の断裂 」より 著者:木暮理太郎
しい急傾斜を二十間も登ると偃松が現われ、傾斜も少しく緩くなって、やっと安心の胸を
撫で下ろすことが出来た。午後十二時五分に窓の北側を下り始めて、南側のそれも窓から....