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撲つ
「撲つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
撲つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
了解し難い。これが了解出来れば、どうかこうか方法もあろうがただ撲って見ろだから、
撲つ細君も困るし、撲たれる吾輩も困る。主人は二度まで思い通りにならんので、少々|....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ん。あの婆さん、なかなか厳重ですから……」 云いかけて、元八は眼口《めくち》を
撲つ藪蚊を袖で払った。一生懸命の場合でも、ここらの名物の藪蚊には彼も辟易《へきえ....
「一兵卒」より 著者:田山花袋
所を思い出してゾッとした。急造の穴の掘りようが浅いので、臭気が鼻と眼とをはげしく
撲つ。蠅がワンと飛ぶ。石灰の灰色に汚れたのが胸をむかむかさせる。 あれよりは…....
「私の父」より 著者:堺利彦
と地面を打つ時、涼気がスウーッと催して来ると同時に、プーンと土の臭いが我々の鼻を
撲つのであった。「かんざしの脚ではかるや雪の寸」などというのも、私の子供心には別....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
二晩留め、又|打かえって寒くなり、雨に当り、いきれましたゆえ、臭気|甚しく、鼻を
撲つばかりですから、 車「フン/\、おや旦那え/\」 又「なんだ、急いで遣ってく....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
南も北も勇ましい歓喜の勝鬨。聞くからに心が躍る。
つゆ霽れやたう/\/\と麦を
撲つ
(明治四十三年 六月二十九日)
有たぬ者
新宿八王子間....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
《あつ》まってまいりまする、と丁度手にして居た団扇《うちわ》を揮《ふる》って蠅を
撲つ状《まね》をした。そこで政宗も大《おおい》に感悟して天下を敵に取らぬことにし....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
も負けずに言うでしょう。そうすると『貴様俺に向って何言うんだ。』と言って、煙管で
撲つ、ビールの空瓶で打つ、煙草盆を投げ付ける。……その煙草盆を投げ付けた時であっ....
「池袋の怪」より 著者:岡本綺堂
何しろ、これまで曾て人を傷つけたことの無いこの石が、鉄砲を持出すと直ちにその人を
撲つというのは如何にも奇怪で、何でも怪しの物が潜んでいるに相違ないと、更に家探し....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
か一言、言つてみてくれないかね。わしはもう手を焼いちまつたよ。よつぽど横つ面ぶん
撲つてやろうかと思つたよ」 「いや、なんなら、引つ張つてもいゝがね、そいつは横つ....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
ったからよう! あれ――あんなものを書くよう……」 雨はまた一としきり硝子窓を
撲つ、淋しい秋の雨と風との間に猥りがましい子守女の声が絶えてはまた聞えて来る。 ....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
の名を聞いては愈よ捨置かれぬ、巡査も人々も続いて其跡を追った。が、何分にも眼口を
撲つ雪が烈しいので、人々は火事場の烟に噎せたように、殆ど東西の方角が付かなくなっ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
茶室|成就よ待合の庇廂繕えよ、夜半のむら時雨も一服やりながらでのうては面白く窓|
撲つ音を聞きがたしとの贅沢いうて、木枯凄まじく鐘の音氷るようなって来る辛き冬をば....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
のように降るぞ。
アルトマイエル
(残りたる一つの栓を抜けば、火※面を
撲つ。)
やあ。僕は火傷をする。
ジイベル
魔法だ....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
戸口へ吹きつける風の音も雷《かみなり》の響も歇んで、亜鉛葺《とたんぶき》の屋根を
撲つ雨の音と、雨だれの落ちる声ばかりになっている。路地には久しく人の声も跫音《あ....