» 擁する

「擁する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

擁するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
初雪」より 著者:秋田滋
に突き出て眼界を遮り、一望千里の眺めはないが、奇々妙々を極めた嶺岑をいくつとなく擁するその山姿は、いかにも南国へ来たことを思わせる、うつくしい眺めであった。 ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
り北進するに従い、雪色天にみなぎるを見る。海岸にそいたる地には、往々麦田の漁家を擁するあり。その屋壁ともに赤くして、万緑叢中紅点々たり。 那山残雪白如。 (那の....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
が、しかし弱り過ぎている。僕はもう、君を――君と君のロールヒェンとを、心の中で抱擁することしかできない。君と君の家の一同へ真の友情と愛情とをもって。 君の旧きか....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
た。その時の私の心持は『罪と罰』を措いて直ちにドストエフスキーの偉大なる霊と相抱擁するような感に充たされた。 それ以来、私の小説に対する考は全く一変してしまっ....
振動魔」より 著者:海野十三
ありすぎたようだ。 このような楚々たる麗人を、妻と呼んで、来る日来る夜を紅閨に擁することの許された吾が友人柿丘秋郎こそは、世の中で一番不足のない果報者中の果報....
二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
と三十年、千二百キロの暖かい海岸線を得、そしてそれにつづく数百万平方キロの大洋を擁するに至ったと、仰有ったではありませんか。それとも、それを否定なさいますか」 ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
れることと思います。 同じアメリカでも、キネマ、トーキーの都、ホーリーウッドを擁するロスアンゼルス市では、早くも都会の密集せる人口と、それにともなう多数の自家....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ンランド中部高原の北緯七十五度あたり、氷河と峻険と猛風雪と酷寒、広茫数百の氷河を擁する未踏地中のそのまた奥。そこに、字義どおりの冥路の国ありという、“Ser-m....
川中島合戦」より 著者:菊池寛
こは如何に、越の大軍が潮の如く我に向って前進中である。正に「暁に見る千兵の大牙を擁するを」だ。「武田の諸勢も之を見て大に仰天し、こは何時の間に斯る大軍が此の地に....
奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
ら、たちまちにしてこの討伐の命が発せられたことを思うと、実力を有する武家と虚位を擁する公家との当時の関係がよく推測せられて、頼朝が将軍の府において永続的軍政の例....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
って人生の秋の黄色い淡い憂愁《ゆうしゅう》を描いている。「沈潜」のうちにも過去を擁する止揚の感情が表わされている。そうして、ボオドレエル自身の説明{9}によれば....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
」は震災ずっと以前すでに昔日のおもかげを失った、「草津」「一直」はただその尨躯を擁するだけのことである。――が、たった一つの、それだけがたのみのその「金田」にし....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
いの苦しげなる溜息を微かに聞く。また涙に曇る瞳と瞳とを見かわしながら、しかも相抱擁することができない。どうしてもできない。ああわれらはどうすればいいのだろう。 ....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
かという声がどこかでした。 彼の誘惑は徹底的であった。私は声を立てることも、抱擁することも両つながら出来なかった。彼の手は私の身体じゅうを撫でまわした。 あ....
運命」より 著者:幸田露伴
て、時に塞下に出没するを以て、辺に接せる諸王をして、国中に専制し、三護衛の重兵を擁するを得せしめ、将を遣りて諸路の兵を徴すにも、必ず親王に関白して乃ち発すること....