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擅
「擅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《こうばい》の小山の半腹に立っていた。物の饐《す》えた香と積肥《つみごえ》の香が
擅《ほしいまま》にただよっていた。小屋の中にはどんな野獣が潜んでいるかも知れない....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
社参と聞くと伊豆守の顔色にいっそうの狼狽が見えましたので、もうこうなれば右門の独
擅場《どくせんじょう》でした。いつも公表するのが例であるご社参を、なにがゆえに今....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
情不之ニ於テハ、事実ヲ詳ニシ、速ニ其筋へ訴へ出ヅ可ク侯。若シ其儀無ク、旧習ニ泥ミ
擅殺スルニ於テハ相当ノ罪科ニ処ス可ク候条、心得違ヒ之レ無キ様致スベキ事。 新一....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
家の表現的努力は畢竟無益ではないか。 一人の水夫があって檣の上から落日の大観を
擅まにし得た時、この感激を人に伝え得るよう表現する能力がなかったならば、その人は....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ろが、その結果偶然にも、あの空中|曲芸を生んでしまったものだ」
まさに法水の独
擅場だった。しかし、それには一点の疑義が残されていて、それをすかさず検事が衝いた....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
の勢力を博し、当時西郷の敗亡を袖手傍観したる板垣氏はひとり民権派の首領たる名誉を
擅にして、政界の将来に大望を有するに至る、これを十年十一年の交における政論の一局....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
火自涼と、おもむろに偈を唱えながら楼門の上に佇んで焚死して節義を全うし英雄の名を
擅にした。 いわゆる、戦国式臨済僧であった。 紅巾を受け取り膝の上へ載せじっ....
「運命」より 著者:幸田露伴
削り、其の指揮|宗麟を誅し、王を廃して庶人となす。又|湘王柏偽りて鈔を造り、及び
擅に人を殺すを以て、勅を降して之を責め、兵を遣って執えしむ。湘王もと膂力ありて気....
「連環記」より 著者:幸田露伴
たか、其詩が温公詩話と詩話総亀とに見えている。真宗崩じて後、其|后の悪みを受け、
擅に永定陵を改めたるによって罪を被り、且つ宦官雷允恭と交通したるを論ぜられ、崖州....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
りゃ、近頃博愛主義になってな、同好の士には皆見せてやる事にした。あえてこの慰を独
擅にせんのじゃで、到る処俺が例の観察をして突留めた奴の家には、必ず、門札の下へ、....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
が、それでも二葉亭の飜訳としてはかなり不手際であっても、英訳本と対照するにやはり
擅に原文を抜いたり変えたりした箇処は少しもなかった。イクラ訳しなぐる意でも二葉亭....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
スト教世界に危害を与え、咀われた人の頭に落ちました。
どうぞお胸にお問になって、
擅に受けられた
この幸福の一分を、ロオマへお返しなさりませ。
あの悪魔がお身方を....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
皇の自覚には、鎌倉幕府の権力の生長が、まざまざと影を映しつつあったであろう。藤氏
擅権の極において、後三条院のお心に院政の基をなす自覚がめばえた。今や藤原氏は藤原....
「「明治のおもかげ」序にかえて」より 著者:喜多村緑郎
知るすべもない。しかしいずれの方面に筆をとられたものとしても、これこそ作者独得の
擅場、充分|蘊蓄を披瀝されることを望ましく思う。単に『明治のおもかげ』という題名....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
から、処女の純潔を保てる大雪渓の雪を蹈んで、この日本に於ける最高の花崗岩たる名を
擅にす可き立山の絶巓に攀じ登り、飽かず驚嘆の眼を※りたいと思っている。 岩に縋....