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「擡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

擡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
も申しました。が、私に励まされるまでもなく、別人のように血相を変えて、必死に梁を《もた》げようと致して居りましたから、私はその時妻の両手が、爪も見えないほど血....
」より 著者:芥川竜之介
うるさそうに、丸々《まるまる》と肥った、口髭《くちひげ》の短い、活動家らしい頭を《もた》げた。 「この部屋ね、――この部屋は変えちゃいけなくって?」 「部屋を....
十円札」より 著者:芥川竜之介
を見ると、教科書の質問とでも思ったのか、探偵小説をとざした後、静かに彼の顔へ目を《もた》げた。 「粟野さん。さっきのお金を拝借させて下さい。どうもいろいろ考え....
」より 著者:芥川竜之介
小言《こごと》ばかり申して居るじゃございませんか。」 老女は紅茶の盆《ぼん》を《もた》げながら、子供を慰めるようにこう云った。それを聞くと房子の頬《ほお》に....
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
ぶった、学生らしい男が一人、白銅《はくどう》を入れに立って行った。すると彼は腰を《もた》げるが早いか、ダム何《なん》とか言いながら、クルウェットスタンドを投げ....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
しばらくして、「おれは命が惜しいわ。」と云った。喜三郎は畳へ手をついたまま、顔を《もた》げる事さえ出来なかった。 その翌日、甚太夫は急に思い立って、喜三郎に....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
か?」 お蓮は舌が剛《こわ》ばったように、何とも返事が出来なかった。いつか顔を《もた》げた相手は、細々と冷たい眼を開《あ》きながら、眼鏡《めがね》越しに彼女....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
《かしら》を下げて、熱心にこう祈りました。するとその言葉が終った時、恐る恐る顔を《もた》げたお栄の眼には、気のせいか麻利耶観音が微笑したように見えたと云うので....
魔術」より 著者:芥川竜之介
るた》の王様《キング》が、まるで魂がはいったように、冠《かんむり》をかぶった頭を《もた》げて、ひょいと札《ふだ》の外へ体を出すと、行儀よく剣を持ったまま、にや....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
は見る見る接近した。十歩、五歩、三歩、――お嬢さんは今目の前に立った。保吉は頭を《もた》げたまま、まともにお嬢さんの顔を眺めた。お嬢さんもじっと彼の顔へ落着い....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
が洋一の足音を聞くと、やはり耳掻きを当てがったまま、始終|爛《ただ》れている眼を《もた》げた。 「今日《こんにち》は。お父さんはもうお出かけかえ?」 「ええ、....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、自然と彼等五六人の独占する遊戯に変ってしまった。彼等はいずれも大きな岩を軽々と《もた》げたり投げたりした。殊に赤と白と三角模様の倭衣《しずり》の袖《そで》を....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
度恐る恐る繰り返した。 「何か、……何か御用でございますか?」 男はやっと頭を《もた》げた。 「常子、……」 それはたった一ことだった。しかしちょうど月光....
歯車」より 著者:芥川竜之介
していた。 「どうした?」 「いえ、どうもしないのです。……」 妻はやっと顔をげ、無理に微笑して話しつづけた。 「どうもした訣ではないのですけれどもね、唯何....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
た。だから私は腹の底に依然として険しい感情を蓄えながら、あの霜焼けの手が硝子戸をげようとして悪戦苦闘する容子を、まるでそれが永久に成功しない事でも祈るような冷....