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擦
「擦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
。「名文」は格別恥ずる所はない。そんな神経はとうの昔、古い革砥《かわと》のように
擦《す》り減らされている。ただこの葬式の喜劇の中に彼自身も弔辞の作者と云う一役《....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
。
「玉蘭も呼ぼうか?」
僕は返事をしたいにもしろ、生憎《あいにく》鴇婦の火を
擦ってくれる巻煙草の一本を吸いつけていた。が、譚はテエブル越しにちょっと僕の顔を....
「白」より 著者:芥川竜之介
ありません。ぬかるみを飛び越え、石ころを蹴散《けち》らし、往来どめの縄《なわ》を
擦《す》り抜け、五味《ごみ》ための箱を引っくり返し、振り向きもせずに逃げ続けまし....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
大浦は今度は黙っていた。が、保吉が煙草を啣《くわ》えると、急に彼自身のマッチを
擦《す》り、その火を保吉の前へ出した。保吉は赤あかと靡《なび》いた焔《ほのお》を....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
の慌《あわ》てかたにも似ず悠々《ゆうゆう》と煙草入《たばこいれ》を出してマッチを
擦《す》った。折入って頼むといったのは小作一同の地主に対する苦情に就いてであった....
「星座」より 著者:有島武郎
住坐《じょうじゅうすわ》りっきりなその座になおると、顔じゅうをやたら無性に両手で
擦り廻わして、「いやどうも」といった。それは父が何か軽い気分になった時いつでもい....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
はそこらを片付けてやおら立ち上がると、胴の間に降り積んだ雪を摘まんで、手のひらで
擦り合わせて、指に粘りついた飯粒を落とした。そして配縄の引き上げにかかった。 ....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
に出合った。歩兵は銃を肩にしたまま、黙って進行をつづけていた。が、その靴は砂利と
擦れるたびに時々火花を発していた。僕はこのかすかな火花に何か悲壮な心もちを感じた....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
拉して何処かに押し流して行く。或る時には私は岸辺近く流れて行く。そして岸辺との摩
擦によって私を囲む水も私自身も、中流の水にはおくれがちに流れ下る。更に或る時は、....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
もぎ取ってくれようとすると「オオ神様泥棒が」って、殉教者の様な真似をしやあがる。
擦った揉んだの最中に巡的だ、四角四面な面あしやがって「貴様は何んだ」と放言くから....
「狂女」より 著者:秋田滋
類をいれた包を抱えて、その後からついて行った。 例の将校はしきりに自分の両手を
擦りながら、こう云っていた。 「ひとりで着物も著られない、歩くことも出けんと云う....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
所に置いてある家具のいつ見ても変らぬ恰好、新らしかった頃から知っている肱掛椅子の
擦り切れたあと、自分の部屋の匂い(家というものには必ずその家独特の匂いがあるもの....
「初雪」より 著者:秋田滋
人は毎日、嬉しそうな顔をして、泥まみれになって屋敷へ帰って来ると、両手をごしごし
擦りながら、こう云うのだった。 「いやな天気だなぁ!」 そうかと思うと、また、....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
なしとするも、ファラデーの名声は後世に伝うるに足るべく、すなわちガス体の液化、摩
擦電気、電気鰻の起す電気、水力による発電機、電磁気廻転、復氷、種々の化学上の発見....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
がり方。そして、車大工とその女房は、交わるがわるその一粒種を手にとって、撫でたり
擦ったりしていた。 その子供が五つになった時のことである。旅まわりの軽業師の一....