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擦り
「擦り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擦りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
住坐《じょうじゅうすわ》りっきりなその座になおると、顔じゅうをやたら無性に両手で
擦り廻わして、「いやどうも」といった。それは父が何か軽い気分になった時いつでもい....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
は一足引く。 「さあ、口説いて頂戴、」 と寄ると、英吉は一足引く。微笑みながら
擦り寄るたびに、たじたじと退って、やがて次の間へ、もそりと出る。 道学....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
はそこらを片付けてやおら立ち上がると、胴の間に降り積んだ雪を摘まんで、手のひらで
擦り合わせて、指に粘りついた飯粒を落とした。そして配縄の引き上げにかかった。 ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
たほどだったのに……もとより寝床に雨垂の音は無い。 その腕を長く、つき反らして
擦りながら、 「衆怨悉退散。」 とまた念じて、静と心を沈めると、この功徳か、蚊....
「女客」より 著者:泉鏡花
のを見ましょうよ。」 と差俯向いた肩が震えた。 あるじは、思わず、火鉢なりに
擦り寄って、 「飛んだ事を、串戯じゃありません、そ、そ、そんな事をいって、譲(小....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
を顰めたのである、片腹痛さもかくのごときは沢山あるまい。 婆さんは額の皺を手で
擦り、 「はや実にお情深い、もっとも赤十字とやらのお顔利と申すこと、丸顔で、小造....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
「どうしたんだね、姉さん、どうしたんだね。」 小親は玉の腕投げ出して、右手もて
擦りながら肱を曲げ、手の甲を頬にあてて、口もてその脈の処を強く吸いぬ。 「僂麻質....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
「先生、」と幽にいう。 「はあ、はあ、」 と、纔かに便を得たらしく、我を忘れて
擦り寄った。 「私、私は、もう死んでしまいたいのでございます。」 わッとまた忍....
「露肆」より 著者:泉鏡花
のウ真中でもウ、お机、卓子台の上エでなりとウ、ただ、こいに遣って、すぅいすぅいと
擦りますウばかりイイイ。菜切庖丁、刺身庖丁ウ、向ウへ向ウへとウ、十一二度、十二三....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
事で。」 九 「その内に、同じく伸つ、反つ、背中を橋に、草に頸窪を
擦りつけながら、こう、じりりじりりと手繰られる体に引寄せられて、心持動いたげにご....
「狂女」より 著者:秋田滋
類をいれた包を抱えて、その後からついて行った。 例の将校はしきりに自分の両手を
擦りながら、こう云っていた。 「ひとりで着物も著られない、歩くことも出けんと云う....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
所に置いてある家具のいつ見ても変らぬ恰好、新らしかった頃から知っている肱掛椅子の
擦り切れたあと、自分の部屋の匂い(家というものには必ずその家独特の匂いがあるもの....
「初雪」より 著者:秋田滋
人は毎日、嬉しそうな顔をして、泥まみれになって屋敷へ帰って来ると、両手をごしごし
擦りながら、こう云うのだった。 「いやな天気だなぁ!」 そうかと思うと、また、....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
に、迦陵頻伽の歌のように聞きなすったのが、まあ! ないんでしょう。目のせいか、と
擦りながら、ドキドキする胸で、棒立ちに、仕事場を出て見なすったそうですがね、……....
「活人形」より 著者:泉鏡花
かい。可愛や可愛や、袖振合うも他生の縁とやら、お念仏申しましょ。と殊勝らしく眼を
擦り赤めてやおら病院を退出ぬ。泰助は医師に向い、「下手人がしらばくれて、(死)を....