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「擦る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

擦るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
袖を辿って来て、和かに面を撫でる。 それを掻払うごとく、目の上を両手で無慚に引擦ると、ものの香はぱっと枕に遁げて、縁側の障子の隅へ、音も無く潜んだらしかったが....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
泣きたいこともありましたろうし、芸妓でしくじるほどの画師さんでございます、背中を擦るぐらいはしかねますまい、……でございますな。 代官婆の憤り方をお察しなさり....
海異記」より 著者:泉鏡花
にかけ、片手を背後に、あらぬ空を視めながら、俯向き通しの疲れもあった、頻に胸を撫擦る。 「姉さんも弱虫だなあ。東京から来て大尽のお邸に、褄を引摺っていたんだから....
深夜の市長」より 著者:海野十三
…」 「ご苦労、――」 「お言葉、まことに有難うさんで……」 ツツツーとまた引擦るような跫音がして、脳天声の主は向うへ去っていった。 「ハテ殺人事件のあとに、....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
。が、それはすぐ消えて、室内はまた暗澹の中に沈んだ。その代り、なにか重いものを引擦るようにゴソリゴソリという気味のわるい音がした。 一郎は教授に耳うちして、室....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
ん。 美女|悲泣す。 不可ん、おい、泣くのは不可ん。(眉を顰む。) 女房 (背を擦る)若様は、歎悲むのがお嫌です。御性急でいらっしゃいますから、御機嫌に障ると悪....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
、松坂で飛上った。……また遣ったさ、色気は無えね、涙と涎が一時だ。」と手の甲で引擦る。 女房が銚子のかわり目を、ト掌で燗を当った。 「お師匠さん、あんたは東の....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
じゃが、まだ持って出たという験を聞かぬ。」と羽織を脱いでなお痩せた二の腕を扇子で擦る。 四 「凍傷の薬を売ってお歩行きなさりはしまいし、人。」 ....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
の極、その死の速かならんことを欲する念は、良人に薬を勧むる時も、その疼痛の局部を擦る隙も、須臾も念頭を去りやらず。甚しいかなその念の深く刻めるや、おのが幾年の寿....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
り、寝台の脚から掻巻の裾へかけて、こう、一つ持上げては、踏落す……それも、爪先で擦るでなしに、宙を伝う裙から出て、踵が摺れ摺れに床へ触るらしく、小股に歩行くほど....
星女郎」より 著者:泉鏡花
の後の事なんですが。」 二十七 「二人の婦が、その姿で、沓脱の笹を擦る褄はずれ尋常に、前の浅芽生に出た空には、銀河が颯と流れて、草が青う浮出しそう....
絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
るのです。その頃塾にいて耳を澄ましていますとカランコロンと足駄の音がします。引き擦るでもなし踏み締めるでもなし、カランコロンと石だたみの上で鳴る足駄の音で、先生....
昔のことなど」より 著者:上村松園
ないので、水気をしっくりと滲み込ませるために刷毛で刷いた上を濡れ布巾で颯っ颯っと擦ると具合がよくなります。その上に柳か何か描いては又その上を濡れ布巾で擦るのです....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ぎれの手を、けちで炭もよくおこさないから……息で暖める隙もなしに、鬼婆の肩腰を、擦るわ、揉むわ、で、そのあげくが床の上下し、坊主枕の蔽いまで取りかえて、旦那様、....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
ね、半襟の引きはぎなんぞ短冊形に、枕屏風の張交ぜじゃあお座がさめるわね。」 と擦るように袖を撫でた。その透切した衣の背に肩に、一城下をかけて、海に沈む日の余波....