擬い[語句情報] »
擬い
「擬い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擬いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「食魔」より 著者:岡本かの子
限りであった。引き返してトンネル横町を徘徊してもただ汚らしく和洋蕪雑に混っている
擬いものの感じのする街に過ぎなかった。それゆえ彼は、蛍雪館へ教えに通う往き来のど....
「河明り」より 著者:岡本かの子
は社長に注文して、まず二つ三つその橋々を車で渡って貰った。 両岸は洋館や洋館|
擬いの支那家屋の建物が塀のように立ち並んでいるところが多く、ところどころに船が湊....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
分ばか/\しいようなお話で、今日の人たちは嘘のように思うかも知れませんが、これは
擬いなしの実録です。勿論小さい雷ならば構わないでしょうが、少し強い雷が鳴り出すと....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
うぞ」 「言うなッ、ほざくなッ」 つつうと進み出ると、噛みつくように言ったのは
擬い鎮西八郎のあの大兵漢です。 「広言申して、ならばおぬし、見事に十本射当てて見....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
流の人々までが、滔々として翁一流の下懸式|呂張を根柢とした豪壮一本調子な喜多流|
擬いの節調を学び初め、観世流の美点を没却した憾があった。 かような翁の無敵の感....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
て、その間の高原を、天竜川が白く流れ、仙丈岳は渓谷を隔てて、その頂上の、噴火口と
擬いそうな欠けたところが、大屋根の破風のように聳えて、霧を吐く窓になっている。駒....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
ついでに指環を贈ろう。僧都、すぐに出向うて、遠路であるが、途中、早速、硝子とその
擬い珠を取棄てさして下さい。お老寄に、御苦労ながら。 僧都 (苦笑す)若様には、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
。これもここで望の達せらるる兆か、と床しい、と明が云って、直ぐにこの戸棚を、卓子
擬いの机に使って、旅硯も据えてある。椅子がわりに脚榻を置いて。…… 周囲が広い....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
い。引捻れた唇の、五十余りの大柄な漢が、酒焼の胸を露出に、べろりと兵児帯。琉球|
擬いの羽織を被たが、引かけざまに出て来たか、羽織のその襟が折れず、肩をだらしなく....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
んびに肚の中で罵り悪んだ。 阿Qが最も忌み嫌ったのは、彼の一本のまがい辮子だ。
擬い物と来てはそれこそ人間の資格がない。彼の祖母が四度目の投身をしなかったのは善....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
その年の夏となりしが四五月頃の気候のよき頃はさてありしも、六七月となりては西洋|
擬いの外見煉瓦蒸暑きこと言わん方なく、蚤の多きことさながらに足へ植えたるごとし。....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
に萌黄糸の大菱巻の※、そこまでは平凡だが、中身を見るまでもない。目貫が銀の輪蝶。
擬いも無い池田家の定紋。 これを備前太守池田新太郎少将光政の差料としてははなは....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
はさり気ない体で問うた。 『持っています』 『真物ですか?』 『無論、正真正銘、
擬い無しの連判状です』 『ローレンの十字のマークがありますかね?』 『あります』....
「競馬」より 著者:犬田卯
の、油断もすきもならないといったようなやつだった。仙太はプログラムを見た。外国|
擬いの長々しい読みづらい字がそこに書いてあった。しかし仙太は「なにくそ!」という....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
羊毛布)。デーマ(縦織羊毛薄布)。コンボチェリー(渦巻羊毛布)。ツクツク(羊毛|
擬いの段通)等で、その他モンゴリヤへの輸出品中最大部分を占めて居るものは経典であ....