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擬す
「擬す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擬すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
わが肉体の一部の発育をみた。 翁は、時には、手を長くさし出して地平の線に指尖を
擬する。地平の線には立木の林が陽を享けて薄《すすき》の群れのように光っている。翁....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
に足るべし。 第五 改進論派 改進論派は真に泰西のリベラール論派を模
擬するものなり、泰西においてリベラール論派と称する者は中等の生活を権利の根源とし....
「運命」より 著者:幸田露伴
、慮を致すこと精しくして、一代の法始めて定まり、朱氏の世を終るまで、獄を決し刑を
擬するの準拠となりしかば、後人をして唐に視ぶれば簡覈、而して寛厚は宗に如かざるも....
「西湖主」より 著者:田中貢太郎
案の上に硯や筆が備えてあった。陳はとうとうその巾に詩を題した。 雅戯何人か半仙に
擬する 分明なり瓊女金蓮を散ず 広寒隊裏応に相※むべし 信ずるなかれ凌波便ち天に....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の事や、僕の室の窓外にある裏木戸から薬師堂の前へ直接出られる位の事で、僕を犯人に
擬すると云う始末ですからね。それに、鏨と云われて探してみると、もう一本あったのが....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
時代交通路の推定から不自然のようにおもわれることを指摘し、和泉日根郡の神前を以て
擬するに至った。また佐野も近接した土地で共に万葉時代から存在した地名と推定するこ....
「決戦川中島 上杉謙信の巻」より 著者:坂口安吾
戦をさとるのだ。余ら八千は五千の援兵を放棄することによって、敵のノドにアイクチを
擬することができるのである。 余の当夜の陣形を車がかりの陣と云うが、別にそれほ....
「学生と読書」より 著者:倉田百三
指導書を発見するには、自分の生の問いを抱いて、その問いを同じくし、解決を与えんと
擬する書物を捜せばいいのである。 下宿を捜すにも実際にかような仕方で、要求の条....
「俳優倫理」より 著者:岸田国士
うものに対する理解がないからです。 俳優は公衆の前で自分以外の他の人物に自分を
擬する。これは考えようによっては、身分本来の姿を隠して、自分と全く異った別の人間....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
熱もなかった。ジュリアンのような第一級の人物ではない。だから、ジュリアンを自分に
擬するのは滑稽だったしジュリアンの真似をするのはあわれな猿真似にすぎなかった。ジ....
「武士を夷ということの考」より 著者:喜田貞吉
ざるなり。『日本紀』には東夷の中に蝦夷あることを言えり。しかして蝦夷以外の東夷に
擬すべきものは、実に東人の祖先以外にこれを求むべからざるなり。もちろん後に中国よ....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
別に鎌倉に一新政府を組織するについては、これを将軍出征中の軍政府、すなわち幕府に
擬することが、最も都合がよかったという事情もあったのであろう。しかも朝廷において....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
・小学校の教育のみ。これ、他なし。無形上の文明は、有形上の文明のごとくたやすく模
擬することあたわず、かつその進歩は永き歳月を要するをもって、一両年間にその成功を....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ジェント等、みなロンドンの名称をとり、街路の狭くして曲折せるところも、ロンドンを
擬するもののごとくなれば、よろしく南球の小ロンドンと名づくべし。 高楼夾。 (高....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
撰の仰せを賜わったので長く私撰集として扱われたが、吉野朝が正統である上は、勅撰に
擬する綸旨を下された歌集は、勅撰集に准じて扱うのが至当だと思う。 さて宗良親王....