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擬勢
「擬勢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擬勢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
命に泣き声で兄に反対した。
「ずるをしたのも兄さんだい。」
「何。」
兄はまた
擬勢《ぎせい》を見せて、一足彼の方へ進もうとした。
「それだから喧嘩になるんじゃ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
起すと、胸に組んでいた腕を解いて、今にも彼等を片っ端から薙倒《なぎたお》しそうな
擬勢《ぎせい》を示しながら、雷《いかずち》のように怒鳴りつけた。
「うるさい。嘘....
「海異記」より 著者:泉鏡花
何だって、何だってお前、ベソ三なの。」 「うん、」 たちまち妙な顔、けろけろと
擬勢の抜けた、顱巻をいじくりながら、 「ありゃね、ありゃね、へへへ、号外だ、号外....
「鳥羽伏見の戦」より 著者:菊池寛
いつの間にか村岡の家を包囲し、石橋の上には大砲二門を引きすえ、今にも発砲しそうな
擬勢を示したので、播磨守は形勢の険悪なるを察して、引き退いた。 午後四時を過ぎ....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
、晴れがましい劇場の廊下など押し歩くのが気恥ずかしく、大抵の場合子供を加担させて
擬勢するのが彼の手だったが、子供に委かしきりにしておくのも何か不安であった。わざ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
目《ひとめ》猿を睨《にら》みつけると、猿は怖れをなして、なお高い所から、しきりに
擬勢《ぎせい》を示すのを、取合わず峠の前後を見廻して人待ち顔です。 さりとて容....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ち崩れ出しました。ひとたび陣形が崩れ出すと共に、畜生の浅ましさであろう、今までの
擬勢が一時に摧《くだ》けて、我勝ちに逃げ出しはじめました。その崩れたのと逃げ足と....
「宵(一幕)」より 著者:宮本百合子
わないが、見当違いの説法だけは聞かされたくないものだね……ああ、ああ(坐ったまま
擬勢的な空|欠伸《あくび》をする)詰らない商売を始めたもんだ! やす子 (良三の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れがどうしたというのだ、それをなんで拙者に問いただす廉《かど》がある」 井村は
擬勢《ぎせい》を張って、兵馬の問いをいちいち刎《は》ね返そうとしているらしいが、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
のばけもの、口から腹に潜っていようも知れぬ。腮が動く、目が光って来た、となると、
擬勢は示すが、もう、魚の腹を撲りつけるほどの勇気も失せた。おお、姫神――明神は女....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
と、灰に刺したは杉の割箸。 こいつを杖という体で、客は、箸を割って、肱を張り、
擬勢を示して大胡坐に※となる。 「ええ。」 と早口の尻上りで、若いものは敷居際....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
。」 このねだりものの溌猴、魔界の艶夫人に、芭蕉扇を、貸さずば、奪わむ、とする
擬勢を顕わす。……博識にしてお心得のある方々は、この趣を、希臘、羅馬の神話、印度....
「余録(一九二四年より)」より 著者:宮本百合子
た時、才覚のある者が、ふみばさみに文《ふみ》をはさんで、これを大臣に奉ると云って
擬勢を示したら、 「大臣《おとど》ふみもえとらず、手わななきてやがて笑ひて、今....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
蒼白《あおじろ》い面《かお》にしてからが、爛酔の気分は充分だから、わざと生酔いの
擬勢をして見せるのではなく、当人は昏々《こんこん》として夢かうつつかの境にいるら....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
踏みこたえて、 「何をする。」 「何でえ、おりゃ士族だぜ。退け!」 国麿は
擬勢を示して、 「汝平民じゃあないか、平民の癖に、何だ。」 「平民だって可いや。....