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擬古
「擬古〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擬古の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
は不熟の味である場合が多いが、精神界にあってはしばしば円熟した趣味である。広義の
擬古主義が蒼古的《そうこてき》様式の古拙性を尊ぶ理由もそこにある。渋味に関して、....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
流れていたのではなかったかと思う。 そんな読書の影響であろうが、僕もその頃から
擬古文めいたものを書いていた。これは三年になってからのことであるが、「離宮拝観記....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
批評家の歎じたごとく、世人は耳によって絵画を批評する。今日いずれの方面を見ても、
擬古典的|嫌悪を感ずるのは、すなわちこの真の鑑賞力の欠けているためである。 な....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
ょうか――愛。 それで海豚は眼を細めている。 一生、陸に上らぬ。 これは希臘の
擬古狂詩の断片をざっと飜訳したものだそうだ。それと同じような意味を父の敬蔵は老荘....
「運命」より 著者:幸田露伴
は、古賢の言に拠ると雖も、聖の清なる者に対して、忌憚無きも亦甚しというべし。其の
擬古の詩の一に曰く、 良辰 遇ひ難きを念ひて、 筵を開き 綺戸に当る。 会す 我....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
る某氏の「野守」の仕舞を見た事があるが、失礼ながらあのような天才的な冴えから来た
擬古的な折れ曲りとは違う。もっと大きく深い、燃え上るような迫力を持った……何とな....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
ればならぬ。――それから、文語を用いるか口語体を用いるか、文語体にしても漢文体か
擬古文体か、口語体にしても話し言葉風のものか近代文章語体か、それとも又新聞記事体....
「辞書」より 著者:折口信夫
辞書のなかに二つの態度がある。というとおかしいが、引き方に二つの方法がある。
擬古文を書く初歩の人が使う字引きとして、「雅言俗解」「俗言雅訳」といった種類のも....
「水の女」より 著者:折口信夫
っているのがある。 言語の自然な定義変化のほかに、死語・古語の合理解を元とした
擬古文の上の用語例、こういう二方面から考えてみねば、古い詞章や、事実の真の姿は、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
。人家のまわりの庭、花の咲いた桜樹《おうじゅ》、緑の芝地、美しい樹影《こかげ》、
擬古式の廃墟《はいきょ》、大理石の円柱台の上、緑の間には、昔の女王らの白い胸像、....
「曙覧の歌」より 著者:正岡子規
その成功はともかくも、その著眼《ちゃくがん》の高きことは争うべからず。 曙覧は
擬古の歌も詠み、新様《しんよう》の歌も詠み、慷慨《こうがい》激烈の歌も詠み、和暢....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
を欠ける和歌の到底俳句を利するに足らざりしや必せり。 当時の和文なるものは多く
擬古文の類にして見るべきなかりしも、
擬古ということはあるいは蕪村をして古語を用い....
「昭和四年の文壇の概観」より 著者:平林初之輔
とは決していえない。彼の表現にはたしかに新鮮味がある。その点において、十一谷氏の
擬古的な表現とは正に対蹠《たいしょ》的であり、私自身の好みから言えば、横光氏の努....
「妾宅」より 著者:永井荷風
ま残されている昔のままの節附《ふしづけ》を拾出す果敢い楽しさのためである。同時に
擬古派の歌舞伎座において、大薩摩《おおざつま》を聞く事を喜ぶのは、古きものの中に....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
歌を詠んだのは、稀有の立場にあったためで、彼の天分のみを以てすれば、あの万葉調の
擬古作品をなしたに過ぎまいということは、私の述べたところですでに感じられたことで....