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「擬宝珠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

擬宝珠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
……」 「どこかこの近所へ沈んで行けよ。」 僕等はちょうど京橋《きょうばし》の擬宝珠《ぎぼし》の前に佇《たたず》んでいた。人気《ひとけ》のない夜更《よふ》けの....
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
とにその橋の二、三が古日本の版画家によって、しばしばその構図に利用せられた青銅の擬宝珠《ぎぼうし》をもって主要なる装飾としていた一事は自分をしていよいよ深くこれ....
日光小品」より 著者:芥川竜之介
たに寺があった。 丹《に》も見るかげがなくはげて、抜けかかった屋根がわらの上に擬宝珠《ぎぼうし》の金がさみしそうに光っていた。縁には烏《からす》の糞《ふん》が....
妖術」より 著者:泉鏡花
を……あの大提灯の下を小さく上って、厳かな廂を……欄干に添って、廻廊を左へ、角の擬宝珠で留まって、何やら吻と一息ついて、零するまでもないが、しっとりとする帽子を....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
と思う白髪を覗かせたが、あしなかの音をぴたりぴたりと寄って、半ば朽崩れた欄干の、擬宝珠を背に控えたが。 屈むが膝を抱く。――その時、段の隅に、油差に添えて燈心....
古狢」より 著者:泉鏡花
言。 今年、四月八日、灌仏会に、お向うの遠藤さんと、家内と一所に、麹町六丁目、擬宝珠屋根に桃の影さす、真宝寺の花御堂に詣でた。寺内に閻魔堂がある。遠藤さんが扉....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
の頼母しさを親船の舳のように仰いで、沫を避けつつ、吻と息。 濡れた帽子を階段|擬宝珠に預けて、瀬多の橋に夕暮れた一人旅という姿で、茫然としてしばらく彳む。……....
黒百合」より 著者:泉鏡花
の音はただどうどうと、足許に沈んで響く。 お兼は立去りあえず頭を垂れたが、つと擬宝珠のついた、一抱に余る古びた橋の欄干に目をつけて、嫣然として、振返って、 「....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
おおらかに足を運んでいた。むしろ神々しい姿である。と、まもなく両国橋の、橋詰めの擬宝珠の前まで行った。そうしてそれを渡りかけた時に、逞しい中年の五人の武士が、追....
東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
こゝに幸せなことは、東京は変化の激しい都会である。例へばつい半年ほど前には、石の擬宝珠のあつた京橋も、このごろでは、西洋風の橋に変つてゐる。そのために、東京の印....
多神教」より 著者:泉鏡花
は錦の袋に鏡を捧げ、後なるは階を馳せ下り、巫女の手より梭を取り受け、やがて、欄干擬宝珠の左右に控う。媛神、立直りて)――お沢さん、お沢さん。 巫女 (取次ぐ)お....
京のその頃」より 著者:上村松園
容子にしても味があった。川幅がもっと広くて、浅い水がゆるゆると流れていた。四条の擬宝珠の橋の上から見下すと、その浅い川の上一面の雪洞の灯が入って、よく見ると雪洞....
京の夏景色」より 著者:上村松園
られてしもうて、ただ三条の大橋だけが昔のままの形で残っているだけのことです。あの擬宝珠の橋とコンクリートのいかつい四条大橋とを較べて見たら時の流れというものの恐....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
て紫の色を籠め、扉に漲って朧なる霞を描き、舞台に靉靆き、縁を廻って、井欄に数うる擬宝珠を、ほんのりと、さながら夜桜の花の影に包んでいる。 その霞より、なお濃か....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
左往する。眼を挙げて日本橋を見ると晴れた初夏の中空に浮いて悠揚と弓なりに架かり、擬宝珠擬宝珠との欄干の上に忙しく往来する人馬の姿はどれ一つとして生活に自信を持....