擬態[語句情報] »
擬態
「擬態〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擬態の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「火の鳥」より 著者:太宰治
するからだを滑り込ませ、 「さあさ、あなたは、お仕事。」 「よし給え。それも女の
擬態《ぎたい》かね?」歴史的は、流石《さすが》に聡明な笑顔であった。「この部屋へ....
「虚構の春」より 著者:太宰治
離れて居る。射撃し易くしてやって居るのである。私の心にもなき驕慢《きょうまん》の
擬態《ぎたい》もまた、射手への便宜を思っての振舞いであろう。(一行あき。)自棄《....
「斗南先生」より 著者:中島敦
である。(若い頃の或る時期には、全く後から考えると汗顔のほかは無い・未熟な精神的
擬態を採ることがあるものだ。この場合も明らかにその一つだった。)その子供らしい試....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
し》ということは、子供が無理に成人《おとな》っぽく見られようとする時に示す一つの
擬態ではないのか? クラリッサ・ハアロウとロビンソン・クルーソーとを比較せよ。「....
「文学精神と批判精神」より 著者:宮本百合子
しなみに社会的・文学的必然として尊重し、結果としては現実に対する自己欺瞞の意識や
擬態を正当化するようになった。作家と読者との相関のいきさつのなかに文学の動向の諸....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
のれのうしろに幾艘かのボートを焼きすてた果は、見捨てて出発した筈の旧い「女心」の
擬態によって、文筆における婦人としての領野を辛くももちこたえなければならないのだ....
「日本の青春」より 著者:宮本百合子
いてわがものでなくなっているという事実である。しかも一層華美な、或いは知的めいた
擬態をもって、権力と金力とはそれらの人々を通じて、威力をふるいつつある、という正....
「結婚論の性格」より 著者:宮本百合子
あった。 結婚はしたくないが子供は欲しい、という風な一見激烈そうな女性の抗議の
擬態と、子供を持つために結婚はするものだ、という一見堅実そうな昔ながらの態度とが....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
の大きな一つは之だ。のみならず、この立憲的ファシズムが部分的に現わす自由主義的な
擬態も亦、人を迷わせるものだ。と云うのは、このファシズムが特に直接行動的乃至ミリ....
「雨の小やみ」より 著者:宮本百合子
てるとか立てぬとか。由来、日本の芸道の精髄は気稟にあった。気魄ということは芸術の
擬態、くわせものにまでつかわれるものであるが、これらの場合の進退には、そういう古....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。文学が衰弱しているから、青年の文学における歩み出し第一歩がもう境地の手さぐり、
擬態、誇張ではじまっている。
非文学的文学の横行の自然な半面として、純文学がこ....
「小さき花にも」より 著者:豊島与志雄
これが、新時代の苦悩の代弁者と目される中堅作家の、本当の姿なのであろうか。何かの
擬態なのであろうか。私には見当もつかず、呆れて戸惑ってしまった。だが誰も、ふしぎ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
また私を隠した叙述のさばかりの冷徹さも、詰るところ、科学的のポオズを取った鴎外の
擬態でなくて何であろう。世間がみんなそういう気になって鴎外を推奨していたならば、....
「春雪」より 著者:久生十蘭
いるというのは、ほんとうでしょうか」 日本は戦争をしているが、いまはもう、半ば
擬態《ぎたい》にすぎないことを、池田は知っている。現に池田の会社では、飛行機をす....
「書について」より 著者:高村光太郎
この頃は書道がひどく流行して来て、世の中に悪筆が横行している。なまじっか習った能筆風な無性格の書や、
擬態の書や、逆にわざわざ稚拙をたくんだ、ずるいとぼけた書などが随分目につく。 ....